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ガンバ大阪・谷晃生が海外挑戦を決めたわけ「日本人GKでも戦える、という姿を示さないと」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

「フィールド選手であれば、J1で目を惹く活躍ができれば......それがわずか半年でも海外からオファーが届く時代になったと思うんです。もちろん、それを選択するかどうかは本人次第ですけど。ただ、GKに限っては正直、まだまだその状況からほど遠い。オファーどころか、リストに載るのも難しいというのが現状だと思います。

 実際、僕も子どもの頃から『世界のGKはもっとレベルが高い。世界を目指せ』と言われて育ってきましたが、そこから15年くらい経っても、ヨーロッパの五大リーグでプレーした日本人GKは永嗣さん(川島/RCストラスブール)くらいしかいない。それ以外のリーグでも、コンスタントに出場している選手はごく限られています。

 その現状を目の当たりにしてきたなかで、まずはヨーロッパの市場に乗らないと始まらないと感じたというか。そこで『日本人GKでもしっかり戦える』という姿を示さないと、ひとつ目の壁は破れないと考えました」

 であればこそ、ベルギー2部リーグのFCVデンデルEHからのオファーにも、迷うことはなかった。当初は、チームに関する情報はもちろん、ホームタウンであるデンデルレーウという街がどの辺りに位置するのかもわかっていなかったと言う。

 毎試合、観客は1万人にも満たないほどで、谷曰く「話を聞いているだけでも、間違いなくガンバのほうが環境は整っている」そうだ。だが、仲介人を通した打診から2日後には正式なレターが届き、同クラブのスポーツダイレクターやGKコーチとも話をするなかで「行きたい」という気持ちはどんどん大きくなっていったという。

「プロになって、J1リーグで100試合を戦って、2021年には東京五輪に出場して、日本代表に選ばれても、僕に届いたオファーは2部のクラブだった――というのが、ヨーロッパにおける僕の評価だということ。

 それなら『せめて1部のチームを選ぶべきだろう』とか、『J1で出場を求めるほうがいいんじゃないか』と思う人もいるだろうし、いろんな意見があると思います。もちろん、僕もヨーロッパに出ることがサッカー人生のすべてだとは考えていないし、先ほども話したとおり、ガンバで求められる成長もあったとは思います。

 でも一方で、成長角度を上げるためにはもっといろんな外からの吸収がほしいという考えもあって......。海外に行ったからといって、それがあるのかといえば正直、わからないですけど、行かなきゃ感じられないこと、行ったからこそ得られる価値観やサッカー観は間違いなくあると思うので。日本とは違う文化、生活のなかで、ひとりの人間として学べることもあるはずですしね。

 そう思うからこそ、僕はこのチャレンジにすごくワクワクしているし、行ってよかったと思える自信もある。ここから先はすべて、自分次第だと思っています」

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