守田英正×脇坂泰斗 同期のふたりが思い出すフランス戦「舌打ちされた」「覚えてない(笑)」 (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

守田 たしかに、それはちょっとありますね。最終的にフロンターレへの加入を決めたのは、チームとしてのレベルの高さに触れたことでしたけど、その過程に泰斗がいたことは間違いない。練習参加した時も、当時は周りの技術レベルの高さに自分のプレーがおぼつかないくらいでしたけど、泰斗は平然とプレーしているように見えましたから。

脇坂 いや、自分も当時はついていくので精一杯でしたよ。自分はユースをフロンターレのアカデミーで過ごしたので、クラブが大切にしていることや目指さなければいけないプレーのレベルについては知っていましたけど、それでもなお、トップチームのプレーの質は全然、違っていた。キャンプでも最初のボール回しでミスするのは、必ずといっていいほど自分たち新加入選手。

守田 たしかに加入した当時は、ミスしてばっかりだったね。でも、それはそれで俺は楽しかったな。ここで練習していれば、絶対にうまくなれるという確信を持つことができたから。

脇坂 そこがヒデと自分が違っていたところかもしれない。逆に自分は、その技術で勝負してきたところがあったので、大学では技術が高いと思っていたのに、フロンターレのトップチームではその特徴が出せないというもどかしさがあった。

守田 たしかに自分の強みを生かせる、生かせないという違いは大きいかもしれない。自分はもともと技術については「学ぼう」と思って加入しているから、最初からうまくできないこともわかっていた。だから、できないことを気にしていなかったかもしれない。

脇坂 その一方でヒデは、守備で相手からボールを奪えるという特徴は出せていた。できる部分が違うことで、プロ1年目のキャンプから差がついてしまったところはあったように思っています。それがプロ1年目からヒデはリーグ戦に出場して、自分は試合に出られなかった結果につながったと思います。

(中編につづく)

◆守田英正×脇坂泰斗・中編>>同期が互いの成長を実感「海外に行けたのも、俺のおかげ」


【profile】
守田英正(もりた・ひでまさ)
1995年5月10日生まれ、大阪府高槻市出身。金光大阪高→流通経済大を経て、2018年に川崎フロンターレに加入。プロ1年目からボランチでレギュラーの座を掴む。2021年8月、ポルトガルのCDサンタ・クララに完全移籍。2022年7月からスポルティングCPの一員となり、同年9月にはCLデビューを果たす。日本代表デビューは2018年9月のコスタリカ戦。2022年カタールW杯メンバーにも選出。ポジション=MF。身長177cm、体重75kg。

脇坂泰斗(わきざか・やすと)
1995年6月11日生まれ、神奈川県横浜市出身。川崎フロンターレの下部組織出身で、阪南大を経て2018年に川崎に入団。2年目からポジションを確立し、2021年・2022年と2年連続でJリーグベストイレブンに選出される。2022年から「フロンターレのバンディエラ」中村憲剛の背番号14を引き継いだ。日本代表デビューは2021年3月の韓国戦。2022年7月のE-1選手権でも3試合に出場。ポジション=MF。身長173cm、体重69kg。

プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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