中村憲剛と佐藤寿人が「なぜクラブの哲学が大事なのか」を明かす...「お金のあるチームが勝つわけではない」「長期政権の弊害」 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

憲剛 だからフリーになった時に、ほかの指導現場を見に行く方が多いって。枯渇しているので、その欲求がすごいと。長期政権の難しさはそこだと。

 だからこそ、大事なのはコーチングスタッフで、今回2期目を迎えた森保さんが、名波(浩)さんや(前田)遼一を入れたのも、そういう考えがあったからだと思う。あのアレックス・ファーガソン(元マンチェスター・ユナイテッド監督)だって、コーチングスタッフを入れ替えながら25年もやってきたわけだから。

── フロンターレもコーチ陣は代わっていますよね。

憲剛 そうなんです。そういう話を聞くと、その部分で変化を起こすのは長期政権を維持するうえで必要なことなんだろうなと思います。

寿人 長い目で見るとそうなんでしょうね。結果を出したスタッフ陣を代えるのは勇気がいることでしょうけど、入れ替えていかないと長くは続かない。

憲剛 だから、フロントサイドはそういうことも考えながらマネジメントする必要があると聞きました。たとえいい時でも、常に新陳代謝を促していく必要があると。Jリーグ30周年の歴史を見ても、そうなんだろうなと思います。

寿人 広島時代も分析担当が代わったりしていたんですけど、それは選手にとってもよかったと思いましたね。前任者がどうとか、新しい人がどうとかいうことじゃなくて、いろんな物の見方を知ることができましたから。

憲剛 そうなんだよね。それが積み重ねの「プラスアルファ」の部分になってくる。人を代えるという言い方はあまりよくないけど、違う視点を持った人を入れるというのが大事なんだろうなと思いますね。

── Jリーグ30年の歴史を振り返ると、オリジナル10のなかで鹿島アントラーズと横浜F・マリノスだけがJ2降格の経験がありません。この2クラブにも確かな哲学が感じられますか?

憲剛 鹿島にはしっかりとした理念があると思います。やっぱり、ジーコさんの影響というのは今も色濃く感じられますね。鹿島もそうだし、マリノスもそうですけど、名門の上に胡坐(あぐら)をかいていないし、常に進化を目指している。

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