中村憲剛と佐藤寿人が「なぜクラブの哲学が大事なのか」を明かす...「お金のあるチームが勝つわけではない」「長期政権の弊害」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 たしかにここまでバラけるというのは、なかなか珍しいですよね。本当の意味で強いクラブは、まだ生まれていないのかもしれません。

 ただ唯一、フロンターレはその可能性があるクラブなのかなと。この6年で選手が抜けながら4回も優勝しています。人が入れ替わりながらも強さを保てているのは、すごいと思いますね。

憲剛 「クラブの哲学」は大事だと思います。それが大局的に勝ち続けられる要因にもなるのかなと同時に思っていて。

 フロンターレの場合は今でこそ勝っていますが、それ以上に勝てない時代を長く経験してきました。そのなかでもフロンターレは、攻撃的に戦うという哲学のもと、多くの監督・選手たちで築き上げた結果として、今があると思っています。

 哲学が見えづらく、毎年のように方向性が変わってしまえば、当然積み上がらない。そうなると、「クラブの定める方向性」がとても大事なファクターだと感じますね。

── サンフレッチェ広島も、2012年からの4年間で3度の優勝を果たしましたが、クラブの哲学というものはあったのでしょうか。

寿人 2007年にJ2に降格した時が、一番のターニングポイントだったと思います。あそこでミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)を代えないという判断を当時の社長がしたことで、クラブとして積み上げていくことができました。

 やりたいことを明確に打ち出せていたので選手もやりがいを感じていましたし、ほかのチームからも「広島でやりたい」という選手が入ってきてくれた。広島ってそれまで、オファーしてもなかなか入ってきてくれるようなチームじゃなかったんですよ。

 でも、西川周作(大分トリニータ→)だったり、フロンターレと競合した柏好文(ヴァンフォーレ甲府→)も広島に来てくれましたから。それを考えると、しっかりとした哲学があったからクラブが育っていったんだと思いますね。

── ただ、それを継続することは難しいですよね。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る