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ヴィッセル神戸の「戦術=大迫勇也」 バラバラなチームを「ピン留め」して首位攻防戦を制す (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo news

「守りきって勝つのではなく、2点目をとれたのは大きい。終盤は両者きついので、そこを上回れるか。(横浜F・)マリノス戦、名古屋(グランパス)戦(はともに終盤の失点で勝ち点を落としたので、その試合)から学べたと思います」(神戸/武藤)

 神戸は貴重な勝利を挙げた。首位攻防戦だけに、6ポイントの価値がある。

 しかし、「戦術・大迫」だけでJリーグを制することができるのか?

 結論から言えば、不可能ではない。今の大迫には、それだけの輝きがある。ただ、シーズンは長い。大迫がずっとトップコンディションでプレーできる保証はないし、不調やケガの場合、分が悪い戦いを強いられるはずだ。

 神戸は、大迫の次に酒井、そして武藤、山口蛍、齊藤未月などと、個人戦術が軸になっている。たしかに錚々たる面子であり、戦力的には上位だが、すべて個人次第のところがあり、勝利には偶然性がつきまとう。チーム戦術が浸透している場合は再現性があり、不振でも戻るべきプレーモデルがあるのだが、神戸にそれは見えない。
 
 30周年のJリーグでどのチームが王者の座に就くか、注目だ。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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