浦和レッズの窮地を救った早川隼平 17歳、身長163センチ、Jリーグデビューのサッカー少年が眩しい (2ページ目)
【ラスト10分、ピッチで最も輝いていた】
早川は左SBから左ウイングバックに立ち位置をわずかに上げた川崎の佐々木旭と対峙する関係になった。佐々木と言えば、技巧と推進力を兼ねた日本代表レベルにある左SBだ。横浜F・マリノスとの開幕戦では終盤、左サイドを駆け上がり、橘田健人のゴールをアシストしている。
後半43分、その橘田から左サイドを攻め上がった佐々木の鼻先にパスが出る。横浜FM戦が頭をよぎった。決定的な折り返しが浦和ゴール前に送られるだろうと予想した。しかし佐々木が得意とするボールの持ち出しは、早川によって阻止された。佐々木の技術を小兵ならではの俊敏な動きでストップしたのだ。
川崎はこのワンプレーを境に最終盤、守勢に回る。5バックで守る時間が増えた。鬼木監督は試合後、3バックへの布陣変更を「攻撃的に出るため」と述べたが、実際は真逆となった。
その2分後、今度は早川が攻め返す。ボールを保持する川崎の左CB車屋紳太郎にしぶとい動きで食いつくやボールを奪取。ドリブルで右サイドを深々とえぐり、中央にラストパスを送った。これは際どくクリアされたが、163センチの俊敏さと技術が光った瞬間でもあった。
攻める浦和、守る川崎。スコルジャ監督はベンチ前から「サイドを突け」と指示を出す。その結果だろうか、早川にもう1度、見せ場が訪れた。縦に進出した右SB明本考浩からバックパスを受けると、MF柴戸海とワンツーを交わしながら前進。さらに安居ともワンツーを交わし、シミッチ、佐々木のマークをかいくぐりながら左足でシュートを放った。シュートは惜しくもバーを越え、と同時にタイムアップを知らせる笛が鳴った。
頭を抱えた早川だったが、ラスト10分プラスアルファの時間に限れば、ピッチ上で最も輝いていた選手になる。ボールを受けたら簡単には奪われない、低い態勢から潜り込むようなドリブル、ボール操作に筆者の目は釘づけになった。163センチがハンディではなく長所に見える選手。日本人らしい選手というより、日本人にも珍しい、超然としたキャラクターに見える。
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