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「日本サッカー界の大きな問題」解決に取り組むカレン・ロバート 経営クラブの野望は「木更津からプレミアリーグへ」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そう語るカレンの顔は、元サッカー選手というよりも、チームを統括するGMであり、クラブ経営のトップに立つ社長のそれだった。

「眞紀人は、ここ1、2カ月が結構大変なのかな。カテゴリーを落としたことの実感はまだたぶんないでしょうし、これからいろんなギャップに苦労すると思いますけど、そのへんは僕の経験談とかも伝えながら、彼には頑張ってほしいなと思います」

 2019年3月に現役引退を発表したカレンだが、社長業のスタートはそれ以前にさかのぼる。

 セカンドキャリアを見据え、2014年、木更津市内の商業施設内にフットサルコートをオープン。そこでサッカースクールなどの活動を行なっていたのである。

 昔から起業に興味があったわけではない。「今でも自分が社長をやってるのが本当に不思議。僕にできるのかって、毎日不安な状態なんです」とカレン。「ただ、クラブ経営を始めてから知ることも多く、やってるうちにすごく興味も湧いてきました」。

 しかしながら、カレンと木更津との間にもともと特別なつながりがあったわけではなく、現在のようなクラブ組織を構えることになるとは、当初考えてもいなかった。

「僕は市船(市立船橋高)出身ですし、初めは船橋で(クラブを)作ろうと思っていたんです」

 ところが、木更津のフットサルコートを拠点にさまざまな活動をするうち、「木更津の人たちと話していると、すごく地域愛が強くて、アットホームなところだなと感じて、自分が体験してきたヨーロッパのローカルクラブのホームタウンに似た雰囲気があるな、と。ここを拠点にしたら、すごく面白いんじゃないか、と思いました」。

 それまでは、単に「ローヴァーズFC」だったクラブ名に、「木更津」の名が加えられたのは、2019年のことである。

 カレンは「ここまで大きくなるとは思わなかった」と苦笑するが、今では「市から廃校の管理を任せていただいたり、木更津市の体育施設の指定管理を任せていただいたり、"期待してもらえている"と感じています」。

 ローヴァーズは現在、トップチームを頂点に、下は小学3年生を対象としたU-9まで、幅広いカテゴリーでスクールを含めたチーム運営を行なっている。

「ローヴァーズっていうのは『さすらい人』のことで、『成功を求めて長旅をする人』みたいな意味がある。

 現役時代の僕は、ちょっと成功はできなかったですけど、長旅をして満足いく形で現役を終われたっていう意味では、今サッカーをしている子どもたちにもそうなってほしい。うちの選手たちには、小さいうちからローヴァーズの意味を教えて、『人生は挑戦だよ』って伝えています」

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