検索

森保ジャパンのリストに載らない代表経験者の意地を見た 横浜F・マリノスSB松原健のビューティフルゴール

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Kyodo news

鹿島アントラーズ戦で先制ゴールを決めた松原健(横浜F・マリノス)鹿島アントラーズ戦で先制ゴールを決めた松原健(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る Jリーグ第5節。ウルグアイ戦(24日)、コロンビア戦(28日)を戦う日本代表のメンバーが発表された直後の試合だった。注目は国内からフィールドプレーヤーとして選出された5人。鹿島アントラーズをホームに迎えた横浜F・マリノスで言えば、角田涼太朗と西村拓真になる。彼らに注目が集まるなか、招集歴があるそれ以外の選手(畠中槙之輔、水沼宏太、渡辺皓太、松原健)は、どのような気分で鹿島戦を迎えただろうか。鈴木優磨を筆頭に選出者ゼロだった鹿島の選手たちも含め、目を凝らしたのは選ばれなかった選手たちの意地だった。

 両チームの第4節までの順位は、横浜FM6位に対して鹿島は4位。鹿島は横浜FMに先行していた。昨季は横浜FMが優勝で鹿島4位。ここ数年、川崎フロンターレ、横浜FMに先を越され、2強の形勢を許してきた鹿島が、今季はそろそろ巻き返しを図る番ではないか。戦力補強等を見る限り、昨年比で横ばいと目される横浜FMに対して、鹿島は優位性を示せるのではないか。逆転の可能性を占う意味で注目の試合だった。

 ところが結果は2-1。鹿島は横浜FMの返り討ちに遭った。第5節終了時で両者の順位は逆転。横浜FMが3位に浮上すれば、鹿島は10位に後退した。

 鹿島は今季、サンフレッチェ広島から獲得した藤井智也を右ウイングに張らせるように置く4-3-3を採用している。伝統的に古いブラジル式と言うべき中盤ボックス型4-4-2(4-2-2-2)を採用してきた鹿島にとって、これは新しい試みと言える。これまでも、実質は4-2-3-1的でも、あえて4-4-2と言い続けてきた面がなきにしもあらずだが、いずれにしてもこれまでの鹿島とはコンセプトが異なる、プレスが高い位置からかかりやすい攻撃的な設定になった。横浜FMや川崎にグッと近づいた印象だ。横浜FM対鹿島は似たもの同士の対戦と言ってもよかった。

 だが試合が始まり、ほどなくすると両者の差が目に留まる。両サイドバック(SB)の役割だ。

1 / 3

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

フォトギャラリーを見る

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る