鹿島アントラーズに明るい変化の兆し。まさかの逆転負けもポジティブに捉えることができるわけ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 新たなシーズンが幕を開け、鹿島アントラーズがポジティブな変化を見せている。

 J1第2節、川崎フロンターレをホームに迎えた鹿島は、前半5分に先制しながら試合終盤に逆転を許し、1-2と敗れた。

「そんなに甘いものじゃなかったということ」

 鹿島を率いる岩政大樹監督がそう振り返ったように、鹿島は手中にしかけた勝利を取りこぼしたばかりか、開幕戦に続く連勝も逃す結果となった。

 古巣相手に先制ゴールを決め、喜びを爆発させたFW知念慶が「悔しい。それだけ」と、うつむき加減でつぶやく様子は、受けたショックの大きさを物語っていた。

鹿島が先制し、試合の主導権を握っていたが...鹿島が先制し、試合の主導権を握っていたが...この記事に関連する写真を見る しかしながら、岩政監督が「概ねゲームはコントロールできた」と話していたように、試合を通じて主導権を握っていたのは、鹿島のほうだったと言っていい。

 試合開始5分で先制点を奪うという展開の利はあったにしても、川崎に決定機を作らせることなく試合を進め、特に後半は「守りだけでなく、攻めに持っていくことができていた」と岩政監督。前半こそ、守備に追われた印象は強かったものの、後半に入ると効果的なカウンターを繰り出し、川崎ゴールを脅かすこともできていた。

 特に目を引いたのは、中盤中央に相手ボールを誘い込む、組織的な守備である。

 4-3-3をベースとする鹿島は、センターフォワードの鈴木優磨が高い位置からボール保持者にアプローチするのに合わせ、右ウイングの藤井智也、左ウイングの知念が外へのパスコースを消しながら絞ってくることで、川崎の攻撃ルートを制限。中央から縦に入ってくるボールを奪い取るケースを増やした。

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