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横浜F・マリノスを王者たらしめる3つの理由。開幕2連勝で強さの秘密が見えた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 2月25日、横浜。昨季の王者、横浜F・マリノスは本拠地に浦和レッズを迎えて、2-0と勝利を収めている。

「次は、今日とは違うサッカーを見せられると思います」

 開幕節の川崎フロンターレ戦後、水沼宏太はそう洩らしていた。敵地で1-2と勝利したものの、選手のコンディションなども考慮し、自ら守勢に回る戦いだった。そして迎えた浦和戦、彼らは"違うサッカー"を見せた――。

浦和レッズ戦で先制ゴールを決めたアンデルソン・ロペスと喜田拓也(横浜F・マリノス)浦和レッズ戦で先制ゴールを決めたアンデルソン・ロペスと喜田拓也(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る 前半を通じ、横浜FMは先手を取って、能動的にプレーしている。西川周作のパントキックや酒井宏樹のパワーに苦しむ場面はあったが、徐々にリズムを上げていった。

「前半はミドルゾーンでの守備で、F・マリノスに対するリスペクトが大きすぎた。アグレッシブさが足りず、後れを取ってしまい、2度も決定機を与えてしまった」(浦和/マチェイ・スコルジャ監督)

 前半18分、中盤での激しいせめぎあいのなか、相手のヘディングのパスを喜田拓也がカットすると、アンデルソン・ロペス、エウベルとつなぎ、左へ展開。永戸勝也が左足で一気に右へサイドチェンジし、相手が被ると、背後を取った西村拓真がダイレクトで折り返し、アンデルソン・ロペスが頭で先制点を押し込んだ。

 横浜FMらしい、球際の攻防の強さ、攻守の切り替えの速さ、ゴールに殺到する迫力、そしてフィニッシュワークの精度、が揃った完璧な一撃だった。

「自分にボールが入ってくるはずだって、仲間を信じて待っていました」(アンデルソン・ロペス)

 そのコンビネーション力こそ、彼らの真価と言えるだろう。ボールを握れるだけでなく、攻防の激しさで相手を凌駕。ゴールに向かって、次々に人が湧きだすような連動と言えるだろうか。それこそ、横浜FMが王者であるひとつ目の理由だろう。

 ただ、後半は浦和が主導権を握り返している。FW興梠慎三を投入し、前線でポイントを作った。20分間ほど、攻守が逆転。カウンターからダヴィド・モーベルグがGKと1対1になっているし、興梠が収めてターンから裏に出したボールに酒井がタイミングよく抜け出し、潰れたあとには小泉佳穂が際どいシュートを放つシーンもあった。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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