横浜F・マリノス、川崎フロンターレの2強を脅かすのはどこか。福田正博が注目する、2023年Jリーグで巻き返しを図るクラブ (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【選手たちのクオリティーをどう上げていくのか】

 2022年はカタールW杯で日本代表が躍動し、サッカーに興味を持つ人が増えた。だが、現状ではそうした人たちが、すぐにJリーグへと足を運んでくれたり、試合を視聴してくれるかといったら、難しいと言わざるを得ない。

 なぜなら、日本代表としてワールドカップで活躍した選手たちのほとんどは、Jリーグでは観られないからだ。とても残念ではあるが、これは海外でプレーする日本人選手が増えた頃から始まっていたことでもある。

 その流れのなかで、Jリーグは2024シーズンからJ1、J2、J3のすべてのカテゴリーが20チーム制を取る(2023シーズンはJ1が18、J2が22、J3が20チーム)。これによって、Jリーグがさらに活性化されるのを期待しているが、そこに向けてひとつ提案したいことがある。それは外国籍選手の出場枠の撤廃だ。

 日本選手の出場機会を守ることも大事だが、いまJリーグに必要なのは選手のクオリティーでもある。日本代表クラスの選手たちが海外リーグを主戦場としているなかで、いろんな取り組み方のJリーグクラブが存在したほうが、多くの人に興味を持ってもらえるのではないか、と思う。

 たとえば、チームの大半が外国籍の選手というクラブがあってもいいだろう。そうしたチーム構成にすることが、クラブとしての利益追求につながる可能性があるからだ。全国各地のクラブがその土地にフィットするチームづくりを進める。そのためにアイデア出し、具現化できるようなルールにしてもらいたい。

 チームづくりの部分では、サガン鳥栖のように若手を育てて成績を残す、独自カラーを持つクラブが出てきている。同様に経営面でも縛りを撤廃することで、各クラブが独自の強みを持てるように努力する。これが魅力あふれるクラブの増加につながり、ひいては日本代表の成績に左右されずにスタジアムに足を運ぶサッカーファンの獲得にもなるのではないか。

 2023年は、日本代表にとって次のワールドカップに向けたスタートとなるが、Jリーグにとっても重要な一年である。そんな今シーズンに、多くの人たちをサッカーの虜にさせるような試合が増えることを期待している。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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