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チアゴ・サンタナは清水エスパルス残留かJ1移籍か海外か。昨季J1得点王の去就が要注目な理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 できればJ2でプレーさせたくない選手と言えば、まずはJ1から転落した清水エスパルスのGK権田修一の名が挙がる。日本代表正GKの名がすたるというものだ。その威厳と格式を守るためにもJ1クラブへの移籍を求めたくなる。

 権田に限らず、昨季の清水には、J1レベルで十分やっていけそうな、ポテンシャルの高い選手は何人もいた。降格した一番の要因が選手個々の能力にあるとは思えない。

 そのなかにはJ1リーグの得点王が含まれている。1部リーグの得点王を擁するチームが2部に降格した例など、世界のサッカー史にどれほど刻まれているだろうか。同様に、その選手が翌シーズン、移籍せずにそのまま2部でプレーした例となると、どれほどあるのだろうか。

 チアゴ・サンタナは昨季、J1リーグのベスト11にも輝いている。とても珍しい存在ながら、権田に比べて話題に上る機会は断然、少ない。そこには代表中心主義に染まる、どこか排他的な日本サッカー界の好ましからざる傾向を見る気がするが、それはともかく、チアゴ・サンタナはいま、最も去就が注目される選手と言っていい。

昨季は14ゴールを挙げ得点王に輝いたチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)昨季は14ゴールを挙げ得点王に輝いたチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)この記事に関連する写真を見る 来月開幕する今シーズン、清水の一員としてJ2を戦うのか。J1クラブに移籍するのか。さらには海外のクラブが食指を伸ばしているとの話も聞くが、ひとりのサッカーファンとしては、今季も直に見ていたい選手である。

 ポルトガルリーグ(ビトリア、サンタ・クララ)で計4シーズンプレーした後、2021年に清水入りしたブラジル人ストライカー。最大の武器は左足で、ワインドアップで投げる野球の投手のように、モーションの大きなフォームから重そうなシュートをズドンと豪快に、突き刺すように蹴り込んでくる。スキンヘッドからくり出される空中戦も迫力満点。さらにゴールに背を向けるポストプレーも得意とする。本格派にして万能型だ。

 2021シーズンは13ゴールで得点ランク5位。2022シーズンはケガで出遅れ、スタメンに復帰したのは第10節からだった。それがなければ14点というゴール数はさらに伸びていただろうし、清水も降格を避けられたのではないか。さらに言うならば、横浜F・マリノスや川崎フロンターレでプレーしていれば、20点台も十分狙えそうなプレーぶりだった。

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