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チアゴ・サンタナは清水エスパルス残留かJ1移籍か海外か。昨季J1得点王の去就が要注目な理由 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

【チームのファンでなくても見たい選手】

 昨季挙げたゴールのうち、筆者が最も感激したのは、最終節の北海道コンサドーレ札幌戦の後半4分に挙げたミドルシュートだ。相手DFのクリアをそのまま左足で引っかけるようにフルスイングすると、シュートはゴール右のサイドネットに、矢のような弾道で突き刺さった。Jリーグのレベルを超えたスーパーゴールだった。

 チャンピオンズリーグ(CL)でも十分に通用しそうな大物が、たまたまJリーグでプレーしているという感じなのだ。とはいえ、彼にブラジル代表歴はない。ブラジルサッカー界の奥の深さと、欧州を含めたサッカー界の盲点をチアゴ・サンタナに見る気がする。

 左利きといえば、久保建英や堂安律がそうであるように、左利きであることが一目瞭然となる選手が多い。Jリーグの外国人選手でいえば、マテウス(名古屋グランパス)やダビド・モーベルグ(浦和レッズ)がこれに該当する。

 大半の左利きがいかにも左利きという雰囲気をフォームに表しながらプレーするのだが、チアゴ・サンタナはキックの寸前まで身体を開かない。どちらかわからない両利きのようなボールの持ち方をする。いわゆる半身にならないので、相手に進行方向を見破られにくい。左で蹴ることはわかっているのに、最後までその雰囲気を抑えながらプレーする。

 Jリーグにはその昔、ブラジル代表級がゴロゴロいた。贔屓チームの枠を超えて応援したくなる選手がいた。その選手を見たさにスタンドに足を運んだものだ。JリーグとDAZNが契約を結び、各クラブが潤う仕組みになれば、そうした大物外国人の数は増えるものと思われた。ルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタ、ディエゴ・フォルラン、ダビド・ビジャなどが来日すると、その流れは加速するかに思えた。

 ところがその流れはいつの間にか途切れた。

 一方で、日本代表級選手の流出に歯止めはかからない。サッカー界として欧州行きを推奨しているようなムードさえある。「私はこのチームのサポーターです」と、応援するチームを決めているファンは、それでもスタンドに足を運ぶかもしれない。地域密着の成果なのか、いいサッカーが見たい、いいプレーが見たいという願望を上回る地元愛、郷土愛の持ち主は増えている。だが、第三者的な目でJリーグを楽しんでいるファンには、この現状が物足りなく映る。

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