日本代表に必要であることを証明した大迫勇也。国内組の有力候補の現状を総チェック

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸の終盤、VARの介入でFK の判定がPKの判定に覆っていなければ、優勝は横浜F・マリノスで決着していた。最終節まで川崎に逆転の目が残されているJリーグ。カタールW杯に臨む最終メンバー26人は、その決着を見る前に発表されることになった。国内の有力候補は、最後のアピールのチャンスをどう戦ったか。

 谷口彰悟、山根視来。川崎には有力な候補選手が2人いるが、横浜FMには、彼らに比肩する選手はいない。谷口、山根の当川崎フロンターレ戦で軽やかな動きを見せていた大迫勇也(ヴィッセル神戸)川崎フロンターレ戦で軽やかな動きを見せていた大迫勇也(ヴィッセル神戸)この記事に関連する写真を見る落は川崎の最終戦のパフォーマンスにどれほど影響を及ぼすだろうか。いささか心配になる。

 谷口の選考は、故障で離脱中の板倉滉(ボルシアMG)の状態に少なからず影響を受けるだろう。さらに、故障から復帰し、所属のアーセナルで出場機会を増やしている冨安健洋ともライバル関係にある。

 冨安は代表デビューして間もない頃、守備的MFでもプレーしたが、代表ではその後、一貫してセンターバック(CB)を務めてきた。しかしボローニャ、アーセナルと、所属クラブでは右SBとして起用されるケースが目立つ。森保一監督もそれに倣い、久々に招集した9月のアメリカ戦では、試合の途中にCBから右SBへコンバートしている。

 すなわち冨安は谷口と山根、それぞれのライバルに相当する。2人が揃って選ばれる可能性はどれほどあるだろうか。川崎が優勝を決めていれば、両者は選ばざるを得ない選手となっていたかもしれないが、冨安の体調が万全だと、可能性はいくらか下がるだろう。

 神戸戦でわかりやすい活躍を見せたのは山根だ。後半14分、スルスルとドリブルでサイドから中央に進出。ゴール正面で構えた橘田健人にボールを預けると、すかさずリターンを受けた。すると次の瞬間、目の覚めるようなシュートがその右足から飛んだ。ポスト直撃弾に終わるも、SBながら真ん中を突いても多彩な芸を発揮する山根らしいプレーだった。

 その10分後には右サイドからマイナスの折り返しをマルシーニョに送っている。そのヘディングシュートは、神戸のGK坪井湧也の美技に阻まれたが、ラストパスとなったその浮き球の柔らかい球質に山根の器用さ、繊細さが見て取れた。

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