日本代表に必要であることを証明した大迫勇也。国内組の有力候補の現状を総チェック (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「上がり馬」は出現せず

 ちなみに、冨安が所属するアーセナルも、木曜日のヨーロッパリーグPSV戦で、試合終盤、布陣を4バックから3バックに変えている。それにともない、冨安も酒井と同じように4バックの右SBから、3バックの右CBにポジションを変えた。酒井の身長は185センチ。188センチの冨安には及ばないが、大型のディフェンダーという点で一致する。代表チームで酒井はなぜCBとしてテストされないのか。これも素朴な疑問である。

 川崎と対戦した神戸にも注目選手はいた。日本代表という視点に立てば、ピッチ上で一番の注目選手に値した。大迫勇也である。この4年間半、大迫を超える選手は誕生しなかった。体調万全なら文句なし。背に腹は代えられない。半分程度出場できるなら、万全でなくても選出したくなる、代わりのきかない選手である。その動きに目を凝らした。

 真ん中の高い位置で大迫は、軽やかな身のこなしを披露した。日本サッカーに不足している人材であることは一目瞭然となった。90分間ピッチに立ち続けた。リーグの優勝が絡む大一番で、自らの体調に大きな問題がないことを広くアピールすることに成功した。森保監督が大迫を最終メンバーから外すことはないと見る。

 最終盤を迎えたJリーグで残念だったのは、大迫とは対照的な、上がり馬と呼びたくなる選手が現れなかったことだ。サガン鳥栖戦で2ゴールを挙げ、湘南ベルマーレを降格圏から押し上げる活躍をした町野修斗では、若干インパクトに欠けるのだ。

 選手枠がこれまでより3人多い26あるので、サプライズで選出したくなるなるような、ここに来て急速に調子を上げる選手を入れる余地はある。藤田譲瑠チマ(横浜FM)あたりを思いきって選んでもいい気はするが、森保監督の判断はいかに。11月1日の発表に目を凝らしたい。

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