小林悠や大島僚太に衝撃を受け、中村憲剛に教えを請う。フロンターレの若手有望株はこうやって次々と育つ (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by ©KAWASAKI FRONTALE

 立ち位置や試合の状況を見てサッカーをする。高井が強みと語ったのは、トップチームの選手たちがよく言う、それだった。

 高井と同じタイミングでU−12に加入した松長根悠仁について、長橋監督は「努力の人」と表現してくれた。その松長根は言う。

「U-12ではボールを扱う練習が多く、U-15ではその延長にあるパスを出すことに目を向けた練習が増えた印象がありました。でも、それ以上に教わったのは、サッカーに向き合う姿勢や心構えでした。カテゴリーが上がるにつれて人間性を教わってきたと思っています」

 人としての成長が、長橋監督も認める「努力する姿勢」を生んだのだろう。

「U-18に昇格したタイミングでコロナ禍になり、活動が自粛。練習が再開されたのが夏くらいでした。そこで初めてU-18のレベルを体感したんですけど、プレースピードも違うし、ボディコンタクトの強度も違うし、培ってきた技術のところもすべて、自分は置いていかれているような感覚になりました。

 ちょうど夏休み期間だったので、練習以外の時間は市営のジムに行って筋トレをしたり、ランニングをしたりしました。そこで身体の土台ができたことで、徐々に練習にもついていけるようになりました」

 また、長橋監督からの言葉に、より精神面もたくましく成長した。

「ヤスさん(長橋監督)から『ミスをしまくっていい』『ミスを怖がるな』と言ってもらったことがありました。ちょうど試合に出られるようになってきた時期で、そのポジション(現状)を守ろうという気持ちが強すぎて、保守的なプレーに走ってしまっていた自分がいました。ヤスさんはそれを見透かして、言葉をかけてくれたんだと思います」

 高校1年の時にはトップチームと練習試合を経験し、手応えを掴み始めていた高校2年生の時には高井と同じくトップチームの練習に参加した。

「練習試合で小林悠さんや大島僚太さんと対戦した時、目の前で何が起こっているのかわからないくらいでした。このレベルに対応できるようにならなければ、プロではやっていけないと感じました。高校2年生の時も、少しは自分も成長したかなと思っていたら、やっぱりプレースピードが速くて衝撃を受けました。トップの練習を肌で感じ、チームに戻って練習できることで、自然と意識は上がりました」

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