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西川周作が正GKの座を失った昨季の葛藤。「自分の特長やよさをうまく出せていなかったのではないか」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

PSGとの対戦で感じたこと

「昨季のことがあったから、今はメンタル的に、この試合が自分にとってピッチに立つ最後のゲームになるかもしれない、という危機感を持ちながらプレーできています。だから、試合のたびに昨季の経験は無駄ではなかったなと思うんです」

 若かりし自分がそうしてきたように、世代交代を叫ぶ周囲の声もわかっている。

「新しい選手の台頭を期待する声が出ることは普通のことであり、時代の流れでもあるとは思っています。その流れや声に打ち勝つのもまた、自分がチャレンジしたいところでもあります。

 彩艶だけでなく、ニエ(牲川歩見)もどんどん成長していて、浦和レッズのGKはかなりレベルが上がっています。あのふたりの存在が僕にとっては脅威というか。その緊張感がいい練習につながり、自分自身の成長にもつながっていると思っています。

 だから、E-1サッカー選手権で彩艶が日本代表に選ばれたことは、僕自身も一番うれしかったんです。彩艶が選ばれたことは、浦和レッズのGKチームが取り組んできたことが証明された結果でもあるなと。彩艶が香港戦でデビューした時には、自分のデビューも同じ香港戦で、無失点に抑えたので一緒だな、なんて思ったりして、うれしかったんですよね」

 再び白い歯を見せながら、笑みを見せる。ただ、易々とポジションを明け渡すつもりは毛頭ない。

 インタビューした時期が、ちょうどパリ・サンジェルマンとの試合を終えたばかりだったこともあり、取材はその話題からスタートしていた。

「対戦したケイロル・ナバスは自分と同い年でしたけど、世界で戦うGKのすごみを感じることができました。ゴールが決まったかなと思うようなシュートでも、しっかりと止めている。

 前半に松尾(佑介)が1対1になった場面で、彼は外に逃げてシュートを外してしまいましたけど、ナバスが最後まで足を運んで対応しているところがポイントでした。1回では飛び込まない。1回目でダメならば、2回、3回と足を運んで、這いつくばってでもボールに食らいついていく。その姿勢は本当にすごいなと感じました」

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