Jリーグ再開で福田正博の注目は外国人監督。3人に共通する「優れたバランス感覚」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

バランス感覚のいい外国人監督たち

 後半戦のJリーグで注目してもらいたいのが、今季から外国人新監督を迎えた鹿島、FC東京、サンフレッチェ広島の3チームだ。

 鹿島はレネ・ヴァイラー監督、FC東京はアルベル・プッチ・オルトネダ監督、サンフレッチェ広島はミヒャエル・スキッベ監督が率いている。アルベル監督は昨季までアルビレックス新潟を指揮していたが、ほかのふたりは初めてのJリーグでの指揮になる。

 スキッベ監督とヴァイラー監督は、新型コロナウイルスの影響で入国できずにチーム合流が遅れたものの、鹿島は2位、広島は7位と上位を狙える位置につけている。キャンプからチームをつくれなかったにもかかわらず、それができているのは、自分のサッカー哲学は持ちつつも、そこに固執しない柔軟さがあるからだと感じている。これはアルベル監督にも言えることだ。

 アルベル監督はポゼッションサッカーを志向し、メディアに向けても発信しているが、いざ試合となればカウンターからの速攻も多用する。よく、監督が変わればサッカーが180度変わると思われているが、それは誤解だ。スタイルを180度変えるには、監督だけではなく、その監督の志向するサッカーに合う選手に入れ替える必要があるが、Jリーグの場合だとそれは難しいことでもある。

 そうした状況のなかで3人の監督とも手元にいる選手を見て、自分の志向するサッカーで、できることと無理なことを見極め、現実の戦いに即したサッカーをやっている印象だ。監督の志向するサッカーへの適性のない選手に、無理に押しつけない。かと言って、監督の志向するサッカーをまったくやらないわけではない。このバランス感覚が、3人の監督とも優れているのだろう。

 3人ともタイプは違うが、それぞれが少しずつ志向するスタイルをチームに浸透させているだけに、ここからどう進化していくのか。来季以降への期待も含めて、しっかり見ていきたいと思う。

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