宮市亮はやっぱりモノが違う。ベンゲルを魅了した大物感あふれるプレーを見逃すな (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • アフロ●写真 photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

直近では横浜FMで最も出場時間が長いアタッカーに

 その速さを警戒したのか、対峙したDFアレクサンダー・ショルツは、宮市がキックモーションに入ろうとしているにもかかわらず、身体を寄せることができなかった。ショルツとの間にできた距離に、宮市の大物ぶりを見た気がした。

 この浦和戦の宮市は、アンデルソン・ロペスが挙げた2点目のゴールにもアシスト役で絡んでいる。さらに言えば、小池龍太がアシストした水沼宏太の先制ゴールも、宮市はそのひとつ前の段で関わっていた。アイスホッケーならば、ダブルアシストとして記録されるプレーである。

 中2日で行なわれたアビスパ福岡戦(5月21日)は後半21分からの途中交代出場に終わったが、さらにそこから中3日で行なわれた京都サンガ戦(5月25日)では、小池龍太と松原健がマークした2ゴールをいずれもアシスト。周囲との絡みが飛躍的に改善していることを示す、これは何よりの証になる。その結果、宮市は横浜FMのアタッカー陣にあって、直近3試合で最も出場時間が長い選手に昇格した。

 競馬では「本格化」という言葉が使われることがある。低迷から抜けだし、最盛期に向かう姿を「この馬は本格化してきた」などと言うのだが、現在の宮市はまさにそんな感じだ。

 29歳の選手といえば、一般的にはピークを迎えた状態にある。だが、宮市の場合はマックス値が見えないので、いまがピークかどうか、わからない。底が割れていない状態にある。使い減りもしていない。あまりにも長い時間、ケガで休んでいたので、身体に疲労感が見られない。いまが何歳なのか、一見、わからない状態にある。ここから大化けが期待できそうな、可能性を抱かせる。

 伊東純也、浅野拓磨、前田大然、古橋亨梧。6月に親善試合4試合を戦う日本代表メンバーのなかで、スピード系のアタッカーと言えば、この4選手の名前が挙がる。横浜FMにも仲川輝人という、100メートルを10秒台で走りそうな俊足が控えている。

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