J1清水・片山瑛一は質を意識した勉強で現役合格。「プロがダメなら体育の先生を目指す」と駆け抜けた早稲田大サッカー部時代

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori

文武両道の裏側 第8回
片山瑛一(清水エスパルス)後編

幼稚園からサッカーを始め、小中高校と勉強と部活の両立をしてきた、現役Jリーガーの片山瑛一。J1・清水エスパルスのDFとして今季もチームを引っ張っている。インタビュー後編では、高校の部活動引退から大学受験、早稲田大学時代の文武両道について尋ねる。(小中高校時代について語った前編から読む)

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Jリーグ開幕前にオンラインでのインタビューに応じる片山瑛一Jリーグ開幕前にオンラインでのインタビューに応じる片山瑛一

大学選択の基準は「スポーツが学べるか」

「高校3年の時、サッカー部は県ベスト16に進み10月終わりまで部活がありました。その時は、サッカーで悔いが残らないようにやれるところまでやろうという気持ちが強かったので、受験は正直、あとまわしの感覚でした。

 浪人してもいいかなというくらいに、サッカーを最後までやり通そうと思っていたんで、勉強との両立はあまり考えてなくて。でも最後の試合が終わったあと、やっぱり受験に向けて勉強をしないとヤバいと急いでオンラインの塾で苦手な国語と英語の講義を受けました」

 埼玉県立川越高校のサッカー部を引退し、受験を控えた当時高校3年の片山瑛一には、大学選びの明確な規準があった。

「国公立だと筑波、私立は早稲田などスポーツの学部・学科がある大学を中心に受けたんです。体育の教員免許がほしいというのと、体を動かすことやスポーツに対する興味が一番強かったので、そういう勉強ができるところを選びました。

 幼稚園からサッカーを続けてきて高校でやりきった面もあったんですけど、ちょくちょくケガをしたり、まだ自分の全部を出しきれていない部分もありました。大学でサッカーを続けられたら全力で上にチャレンジしていけるようなサッカー部があるところにいきたい気持ちもあって、その点も含めて選択していましたね」

 結果、片山は早稲田大学スポーツ科学部に現役合格。しかし、早大サッカー部(ア式蹴球部)は、高校サッカーでは全国レベルの、スポーツ推薦で入学してくるような猛者たちがひしめき合っていた。一般入試で入学した片山がサッカー部に入部するには、セレクションを受ける必要があった。

「セレクションに受かるか受からないかがまずは最初のスタートでした。受かるように頑張りましたけど、まぁ落ちることも考えながら受けていましたね」

 ちなみに、セレクションに落ちた場合に考えていた別のスポーツを片山に聞いたところ、「たぶん、ラクロスをやっていました」との答えが返ってきた。

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