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『ヴィッセルにできるわけがない』を覆した変化と自信。三浦淳寛監督が胸に秘める自らの使命を語った (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by(C)VISSEL KOBE

 リーグ戦の目標勝ち点は70に設定。その実現のために、1試合あたり「得点は2得点以上、失点は1失点以下」を目標に据えた。また、2年ぶり2度目の参戦となるACLでは、3月15日にプレーオフを勝ち抜くことを大前提としたうえで、前回のベスト4を上回る結果、つまり、タイトルを明確なターゲットに定めた。2018年にスポーツダイレクターに就任した時から継続して求めてきた悲願の"アジアタイトル"奪取である。

「スポーツダイレクターに就任した2018年。それまでの堅守速攻のサッカーから脱却し、『ボール保持率を高め、主導権を握ったバルセロナのような攻撃サッカーでアジアナンバーワンを目指します』と話した際、誰もが半信半疑でした。正直、『ヴィッセルにできるわけがない』というような厳しい意見もたくさんいただきました。

 でも、僕たちは近年、スタイルにあった選手を補強しながら、着実にそこを目指した戦いを進めてきました。ここ数年、ヴィッセルの試合になると決まってテレビ解説者の方たちが『ヴィッセルがボールを持つ時間が長くなりそうですね』と予想してくださるようになりましたが、それはある意味、僕たちの変化を示すものだと思います。

 そうはいっても、我々はまだ天皇杯のひとつしかタイトルを獲得していないわけで、やらなければいけないことはたくさんあります。また、チームをもう1段階上のレベルに引き上げるには、やはりタイトルが必要だとも思います。

 ですが、タイトルは正直、そう簡単に手にできるものではないし、リーグ戦では昨年の上位2チームと勝ち点で大きな開きがあったことも、真摯に受け止めています。ACLも前回ベスト4だったから『次はアジアタイトルだよね』というほど、ひと筋縄にはいかないと覚悟しています。

 ただ一昨年、多くの選手が、また監督である僕自身も、初めてアジアの舞台を経験して、より"タイトル"への欲は強まっていますし、決して叶わない目標ではないと思います。というか、それをしっかり自分たちで実現できるように、選手とともに例年以上に厳しいハードスケジュールをひとつずつ戦っていこうと思っています」

 かつて選手としても在籍したヴィッセルが、新たなチャレンジにとり組むにあたって、再びスポーツダイレクターとして迎えられ、さらに指揮官の大役を任せてもらうに至ったことへの感謝と責任に"結果"で応えるために。

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