「マリノス1.5軍?」の不安はたちまち一掃。誰がピッチに立っても高品質なサッカーに魅了された

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sponichi/AFLO

 3月6日に日産スタジアムを訪れた当初の目的は、清水エスパルスのサッカーに興味があったからだ。

 下馬評は決して高いとは言えなかったが、開幕戦では北海道コンサドーレ札幌に追いついて引き分け、続くジュビロ磐田との"静岡ダービー"には2−1と競り勝った。「予想に反して」と言っては失礼だが、いい形でスタートを切った印象で、鈴木唯人という20歳のタレントの成長度合いも確認しておきたかった。

 昨季は14位に終わったチームが、どのように変化したのか。開幕から間もないこの時期だからこその取材の醍醐味である。

先制ゴールを奪ったボランチの小池龍太先制ゴールを奪ったボランチの小池龍太この記事に関連する写真を見る お手並み拝見とばかりに、キックオフから視線はオレンジのユニホームを追いかけた。しかし、目的が変わるまで大した時間を要さなかった。素早くボールを動かしながら颯爽とピッチを走る青いユニホームに、早々に目を奪われてしまったからだ。

 この日の横浜F・マリノスのスタメンの顔ぶれは、王者を4−2で撃破した2月23日の川崎フロンターレ戦とは大きく異なった。

 同じだったのは、GKの高丘陽平と、CBの岩田智輝、右SBの松原健、そしてウイングのエウベル。小池龍太の名前もそこにはあったが、川崎戦では左SBで出場していたのに対し、この清水戦ではボランチとしてピッチに立っていたのである。

 マルコス・ジュニオールをはじめとする複数の負傷者が出ていた影響に加え、開幕から中2日、3日で続いた連戦の5試合目である。コンディションを考慮すれば、選手を入れ替えるのは当然のこと。今季初出場となる2年目のCB角田涼太朗をはじめ、フレッシュなメンバーがスタメンに名を連ねていた。

 もはや、ベストメンバーの定義などないのかもしれない。現状で最も状態のいい選手がベストと言われれば、それまでだ。

 しかし、経験値やポジション適性を踏まえても、この日の横浜FMはいわば「1.5軍」と呼べるような陣容だった。したがって当然ながら、パフォーマンスの質は低下するのでは? と懐疑的な想いがあったのは否定できない。

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