フロンターレの背番号14を背負う覚悟。脇坂泰斗は中村憲剛からの言葉に心を熱くした (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【14番の重みをすぐに実感】

 シーズン中には、日本代表として初めてピッチを踏み、年末にはJリーグベストイレブンに選ばれた。自身にとっても確かな足跡を刻んだ。

「昨シーズン終盤は特に手応えを感じられて、自分のなかでは少しステップアップできたかなという思いがありました。今シーズンは1年間を通して、そのクオリティを維持していかなければいけないなと、年が明けて思っていたタイミングで、クラブから連絡があったんです」

 過密だった2021シーズンを終えて、オフを過ごしていた日のことだった。クラブのマネージャーから着信があり、電話に出るとこう言われた。

「来シーズンは背番号14になりました」

 家族とリラックスした時間を過ごしていたが、背筋が伸びる思いだった。

「2021シーズンが終わったタイミングでも背番号の話になりましたが、自分から必要以上に言うことはありませんでした。メディアを通して希望や目標として伝えていましたし、その前年に話したことで自分の気持ちは伝わっていると思っていたので。クラブもその思いを感じ取ってくれていたんだと思います」

 電話を切ると、その重みをすぐに実感した。

「言葉では言い表せないというのは、こういうことを言うのかというくらい、いろいろな感情が渦巻きました。そのなかで一番、感じたのは緊張感でした。気持ちとしてはシーズンオフに入って、リラックスしている状態なのに重圧を感じて。

 まだ一度も、その番号が入ったユニフォームに袖を通したことはないのに、重みを感じました。自分では覚悟というか、わかっていたつもりなのに、その想像をはるかに超えていた。同時にうれしさというか、『やってやるぞ』という気持ちも芽生えました」

 それを武者震いというのだろう。

 覚悟と決意を伝えるため、すぐに中村に電話をした。事前にクラブから聞いていたのだろう。中村からは「電話が来ると思っていた」という返事があった。

 思い返せば、最初は純粋な憧れだった。

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