荒木遼太郎に「2年目のジンクス」は関係なし。19歳でアントラーズの攻撃を担う存在感 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

【世界を見すえて語学も勉強】

 特にJ1第16節のC大阪戦で決めたゴールは圧巻だった。

 土居からのラストパスを受けた荒木は、寄せてくるDFをかわすように切り返すと、次の瞬間には右足を振り抜いていた。シュート意識も高ければ、シュート態勢から実際にシュートを打つまでの間隔が短い。相手DFが寄せる前に、相手GKが身構える前に、シュートを決めきるうまさがあった。

 止めて蹴るという基礎技術の高さは、鹿島の主力を担っているように当たり前にある。シーズン途中からトップ下というポジションを与えられてからは、周りを使う動きにも磨きがかかっていた。

 司令塔にもなれれば、フィニッシャーにもなれる。シーズン終盤は途中出場する機会も多かったが、彼がピッチに立ってから試合の流れや空気が変わったと感じたことは、一度や二度ではなかった。

 19歳にして、鹿島の攻撃を担っている----。そう言えるほどの存在感だ。

 それはおそらく、自信がもたらしたプレーへの責任感なのだろう。かつては柳沢や興梠慎三といったストライカーがつけてきた背番号13を背負った2021年、荒木のプレーには自信と責任がみなぎっていた。

 だから、ベストヤングプレーヤー賞を受賞したことに喜ぶ一方で、チームにタイトルをもたらすことができなかった自分に責任を感じるコメントを残していた。

 スポーツ界には「2年目のジンクス」という言い回しがある。成長を続ける荒木に、その言葉は関係なかった。プロ3年目となる2022シーズンも成長が止まることはないだろう。

 クラブ創設30周年という節目に無冠に終わった鹿島は、大きく方向転換して2022シーズンに臨む。クラブ初となるヨーロッパからスイス人のレネ・ヴァイラー監督を招聘して、新たなスタイルの構築に着手していく。

 その中心には、間違いなく荒木が立つことになるだろう。

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