高校サッカー界は新たな時代へ突入か。神村学園が青森山田とは「違うサッカー」で勝利し「ひとつの歴史を作った」という意味

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 強い鹿児島を取り戻す――。

 前回王者の連覇を阻んだのは、そんな確たる信念だった。

 全国高校サッカー選手権大会準々決勝。大会連覇を狙う昨年度優勝の青森山田(青森県)が、同校史上初めてベスト8で敗れた。

 過去に優勝候補として選手権に臨みながら、大会序盤(1~3回戦)で足をすくわれるケースはあっても、準々決勝まで駒を進めることができれば、必ずベスト4へ進出する。それが、青森山田の強さだった。

 特に最近の4大会はすべて決勝に進出し、優勝2回、準優勝2回。"令和の絶対王者"にとって準々決勝は、単なる通過点となっていた。

 だが、そんな歴史にもついに終止符が打たれた。

 もしかすると、この試合が時代の転換点となるかもしれない。そんな一戦で主役を務めたのは、神村学園(鹿児島県)である。

 神村学園は、試合序盤からボールポゼッションでは上回りながら、前半34分に自陣での不用意なボールロストから失点。「今年は守備を強化してきた。1点取って守りきるのが、今年の青森山田の戦い方」(青森山田・正木昌宣監督)であることを考えれば、試合は最悪の展開で進んでいるかに思われた。

 ところが、「みんな、慌てることなくできた」とは神村学園のキャプテン、MF大迫塁の弁。

 キャプテンの言葉を裏づけるように、後半に入って攻撃姿勢を強めた神村学園は、後半56、60分と立て続けにゴールを奪い、たちまち2-1と試合をひっくり返した。

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