J2ウォッチャー平畠啓史さんの2021シーズン総括。そのインタビューやチーム作りに「何度も参りました」と思わされた監督とは? (3ページ目)
――あの試合に関しては、両チームの選手の終盤。明らかにみんな疲れているけど、振り絞ってスーパーなプレーが目立ちました。あれは、プライドとか、いろいろなものが詰まっていた試合だなと感じました。
「相模原が2点(後半44分、51分)決めるわけですけど、その前に平松宗選手が2回くらい決定機を外してしまったり、愛媛の唐山翔自選手が足かかったのか!? など、いろいろなドラマが重なっていったのが本当にすごかった。平松選手の時もそうですが、相模原もカウンターの時にすごい人数が愛媛ゴールに迫って行ったり。体力云々を超えていくところが、監督さんが何を指示したとか、選手がどれだけ練習したとか、そんなところを超えていくところがすごいなと。あれはいい試合を見られたなって思いました」
――J1からJ2に落ちるのと、J2からJ3に落ちるのは大きな差があります。選手たちもそういうコメントを出されているので、絶対に落ちたくない気持ちがああさせるんでしょうね。
「クラブからのプレッシャーありますし、周りからのプレッシャーもありますし、本人のサッカー人生もあります。僕個人の話ですけど、J2も面白いですし、J3も面白い。J1ももちろん見ています。試合を見ていると『絶対残留!』『死守!』って幕をゴール裏に見かけます。気持ちはよくわかるんですが、それを見ると『じゃあ俺がいつも楽しんでいるリーグは、どんな地獄に見られてるんだろう』と、ちょっと複雑な気持ちになったりします(笑)。
レギュレーションで何クラブかは落ちるのが決まっているわけじゃないですか。どこかのクラブは必ず落ちるわけで、しょうがない。またしっかりチームを作って、どんどん器を大きくしていって、また1個ずつ着実にカテゴリーを上げていけばいいじゃないのって言いたいけど、やっぱり当事者の方は、そんな感覚にはなれないですよね。
その切実さがあるからこそ、見る人に訴えるものがあるのかなと。ただ勝ったらいい、負けたら悲しいだけじゃなくて、人生がかかっている感じが、見ている者に迫ってくるものがあるんだと思います」
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