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J2ウォッチャー平畠啓史さんの2021シーズン総括。そのインタビューやチーム作りに「何度も参りました」と思わされた監督とは? (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

――新潟と琉球はかなり対策されてしまいました。

「逆にスタイルを持っているチームは、崩しきった時の美しさとか、爽快さがあって、本当にチームで勝っている感じがすごくするんです。でも、相手も毎週ゲームがあってやっぱり勝ちたいわけだから、そこはどのチームも対応してきた。そこをまた凌駕するスタイルになっていけば面白かったかなと」

【昇格・残留争いに関わらないチームの頑張り】

――ここまで残留争いがもつれると予想していましたか?

「まず2020年シーズンがすごく特殊で、降格がありませんでした。だから、1年の間、降格する姿を見ていなかっただけで、今年は改めてその姿を見てものすごいリアル感があります。そう言えばこれくらい悲壮感漂うことだったよねと。これがプロのリーグ戦だというのを改めて感じさせられました。

 残留争いの部分では、来シーズン、要はJ1から4チームがJ2に落ちてくる。J3にも4チーム落ちる。そうなると落ちたあとはすごく大変だと思うので、何とか今シーズン残りたいという気持ちがどのチームからも見えました。J2のすばらしさはそこにあるかなと。簡単には諦めない。しがみつこうとする感じが、僕は見ていて好きですね」

――降格が4チームになって、やっていく人たちは大変ですが、見ているほうは圧倒的に消化試合が減るので楽しい感じもあります。

「残留争いとちょっと外れていますが、選手が『可能性ある限り戦います』ってよく言うじゃないですか。僕はあまり好きじゃなくて『応援してくれる人が1人でもおったら戦わなあかんでしょ』って思ってるんです。

 だから、残留争いもそうですけど、残留争いにも昇格にも関わってないチームが、結構終盤にきてすごくいいゲームを見せてくれたことが、J2の選手と監督、関係者のみなさんがすごいなと。昇格、優勝、残留がかかったら、周りからのプレッシャーもあるから戦うじゃないですか。でも、可能性がないクラブが頑張っているのは、僕は本当にすばらしいなって思っています」

――毎節、残留争いをしているチームの動向を見ると、8チームくらい争いをしていて、勝ったのが1チームというのが毎節のように続いていました。中位チームが譲らないんですよね。

「僕も順位表は大好きで、何なら順位表だけでずっと酒を飲めるくらいの人間(笑)。残り3試合だから、3試合勝てば勝ち点9だなって計算するけど、そうはならないですよね。今まで負けたことがないデータがあったとしても、絶対そのとおりになるかというと、そうならない。そこはJ2の好きなところです。

 前の試合はすごくよかったのに、今日はどうしたんだろうみたいなことってJ2だと結構あったりするじゃないですか。その安定のなさ、人間っぽさというか、そこが僕は好きです。いつも同じ力を出せれば一番いいんですけど、人間がやっているスポーツなんだなとすごく感じられます。

 そのなかでも、第40節の愛媛FCとSC相模原みたいなすごいゲームがあったりしました(※試合終盤に3ゴールが入り、愛媛1-2相模原)。もっと前の段階であのゲームの内容になったかと言えば、ちょっとわからないですよね。第40節であの勝ち点であの順位だからこそ、あのゲームになった。これは、プロのリーグだからこそじゃないでしょうか」

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