J1残留へ清水エスパルスが「狙いどおりだったが、出来すぎ」の勝利。勝負の最終決戦へは心許ない内容だった (2ページ目)
平岡監督は守備に追われる展開が続いたことを、「もう少し高い位置で奪って、カウンターを意識しているのだが......」と振り返っていたが、そんな狙いがハマりそうなシーンはほとんど見られなかった。
結果的に、試合はスコアレスで進んだが、清水にとっては悪くない展開だったはずだ。
同時刻キックオフで残留争いのライバル対決、湘南ベルマーレvs徳島ヴォルティスの情報――徳島が1-0でリード――は「スタッフには入っていた」(平岡監督)。清水は勝ち点1でも上積みできれば、勝ち点で並ぶことになる湘南と徳島を一歩リードできる。
実際、0-0のまま迎えた後半ロスタイムに、清水は時間稼ぎの選手交代も行なっている。FW鈴木唯人、FWチアゴ・サンタナに代えて、DF山原怜音、FWディサロ燦シルヴァーノを投入したのだが、退くふたりがゆっくりと下がっていったのを見ても、このまま引き分けでよし、の判断があったはずだ。
「前半からチアゴと唯人が守備でスイッチとなり、攻撃でもサイドに流れて起点を作っていたので、疲れていた」と平岡監督。「(得点する)ワンチャンも考えていたが」と付け加えながらも、「勝ち点1をとって帰りたい」という意図だったことを認めている。
にもかかわらず、時間稼ぎの交代直後のプレーで決勝ゴールが決まってしまうのだから、誰もが呆気にとられるまさかの結末である。指揮官自ら「狙いどおりだったが、出来すぎ」と言うのもうなずける。
これで勝ち点を39に伸ばした清水は15位に浮上。ともに勝ち点36で16位の湘南、17位の徳島に勝ち点3の差をつけた。残すは1試合という状況を考えれば、相当に大きなアドバンテージを手にしたことになる。
とはいえ、浦和戦を見る限り、その試合内容はかなり心許ない。
相手にボールを保持される時間が長くなるのはいいとして、どこでボールを奪うのか。奪ったボールをどうやって前線に運ぶのか。そうした戦い方が整理されているようには見えなかった。
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