J1残留へ清水エスパルスが「狙いどおりだったが、出来すぎ」の勝利。勝負の最終決戦へは心許ない内容だった

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 まさか、まさかの幕切れだった。

「えっ、入っちゃった?」。敗者はもちろん、勝者ですら、そんな感覚ではなかっただろうか。

 J2降格となる最後の1枠から逃れるべく、熾烈な残留争いを繰り広げる清水エスパルスは、J1第37節で浦和レッズと対戦。1-0で勝利し、敵地での貴重な勝ち点3を手にした。

J1残留へ向けて、とてつもなく大きい勝ち点3を手にした清水エスパルスJ1残留へ向けて、とてつもなく大きい勝ち点3を手にした清水エスパルスこの記事に関連する写真を見る「向こう(浦和)がボールを保持する時間が増えるのはわかっていた。我慢強く、どこかで一発(1点)とって、というプランだった」

 清水の平岡宏章監督がそう語るように、この試合、多くの時間でボールを支配していたのは浦和である。実質ゼロトップと言っていい布陣の浦和は、ピッチ上の選手が立ち位置を自在に変えながらパスをつなぎまくった。

 と同時に、守備への切り替え、ボールの奪回も速かった。清水は自然と後退を強いられる場面が多くなった。

 しかしながら、浦和の攻撃はそこまでだった。清水のGK権田修一が「危ないシーンはなかった」と振り返ったように、圧倒的なボール支配をどうゴールに結びつけるのかが見えてこなかった。

 一方で清水もまた、洗練された戦いをしていたとは言い難い。

 浦和のもたつく攻撃に助けられはしたが、攻守両面で連動性に乏しく、一度食い止めてもセカンドボールを拾われる。あるいは、奪ったボールを攻撃につなげられない。そんなシーンが目立った。

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