「本当にドキドキの戦い」を制した名古屋グランパス。3大タイトルコンプリートで真のビッグクラブとなれるか (2ページ目)
だからこそ、後半開始早々のゴールがモノをいった。
後半開始から、C大阪はMF清武弘嗣を投入。前半のこう着状態を打ち破るべく先に手を打ったはずが、それが効果を発揮する前に、名古屋が試合を動かした。
「リードされると相手のやり方に合わせなければいけなくなるが、リードしたので望む展開にもっていけた」(フィッカデンティ監督)
47分、MF相馬勇紀の左CKを、ニアサイドに走り込んだFW柿谷曜一朗がヘディングで後方に流すと、ファーサイドで待ち構えていたFW前田直輝が頭で押し込んだ。
殊勲の前田が「あの形は練習でも結構やっていた」と語る、してやったりの先制点である。
まさかの展開に、焦りから攻撃が粗くなるC大阪に対し、手堅く守備固めへと舵を切っていく名古屋。フィッカデンティ監督は「相手がこうきた時にはこうと、決まりごとを作っていたが、それを選手がうまくつなげながら、グラウンドで表現してくれた」と言い、会心の試合展開を振り返った。
「後半から終盤にかけて疲労の影響が出てくると想像していた。走ることができなくなった時、どうスペースを埋めるか。最初の4-4-2から、4-2-3-1、4-3-3と変え、(DFが)4枚では耐えられなくなり、5-4-1、5-3-2と変更した」
とはいえ、防戦一方の試合が続けば、どこで"事故"が起きても不思議はない。
「あそこまで押し込まれて、奪ったボールをつなげない展開が続くと難しい」(中谷)
だが、耐え続けていた名古屋に、勝利の女神は微笑んだ。
79分、この試合のMVPに選ばれたMF稲垣祥が、勝負を決定づける2点目のゴールを叩き出す。
「あんなにいいこぼれ球がきたら、自分は決めなきゃいけない」
FWシュヴィルツォクが放ったシュートは相手GKにセーブされるも、その跳ね返りを右足で思いきりゴールへと蹴り込んだ。
名古屋にとっては、「2点目が入るまでは、本当にドキドキの戦い」(中谷)だったが、事実上、ここで勝負は決した。
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