古橋亨梧から大迫勇也へ。気になる神戸のフォーメーション。得点パターンは「崩してゴールを取れる形へ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 8月28日、神戸。J1リーグ3位のヴィッセル神戸は、本拠地に8位のFC東京を迎え、0-1と敗れている。相手の分厚い守りに打つ手なし。パスのテンポ、動きのタイミング、次のプレーの選択、どれも呼吸が合わなかった。

 この夏、神戸は多くの選手が入れ替わっている。藤本憲明、古橋亨梧が移籍し、武藤嘉紀、大迫勇也、ボージャン・クルキッチが入団。シーズン途中に、これだけ有力選手が入れ替わるケースは異例だろう。

 当然だが、それによって生まれたズレは明白だ。敗戦後のアンドレス・イニエスタは、何かを咬み殺すような表情をしていた。礼儀正しいイニエスタは先頭に立ってサポーターへ挨拶に向かうが、その刹那、手にしたペットボトルを強く頭上で振った。残っていた水が飛び出て、足元で飛沫をあげた。

「温和に見えるだろうけど、アンドレスほど"負けを憎む"選手はいない」

 かつて神戸を率いたフアン・マヌエル・リージョの言葉である。

 神戸は狂ったチューニングを合わせることができるのか?

FC東京戦に先発したが、不発に終わった大迫勇也(ヴィッセル神戸)FC東京戦に先発したが、不発に終わった大迫勇也(ヴィッセル神戸)この記事に関連する写真を見る エースでJリーグ得点王を争っていた古橋が去って、ドイツにいた大迫が入ったトップのポジションは、チームスタイルまで変化を余儀なくされるかもしれない。

 FC東京戦、大迫は1トップで先発し、後半途中からは2トップの一角でプレーした。端的に言って、連係面は思わしくなかった。前半はほとんどボールを受けられず、動き出しも味方と合っていない。後半になってサイドに流れ、あるいは下がってボールを受け、ややプレーに絡むようになったが、ゴールから遠ざかることによって、今度はストライカーの役割ができなくなっていた。

「大迫は(相手を)背負ったプレーにうまさがある。キープやコントロール、落とし。ファーストタッチの技術が高く、左右両足を使える」

 カタルーニャ語で大迫を評したのは、神戸MFセルジ・サンペールだ。

「適応はお互いのことで、簡単ではない。中盤の選手としては、大迫にボールを差し込めるようにしたいし、うまくはまればゴールもたくさん決められるだろう。連係はやっていく中でよくなっていくはずだ」

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