襲いかかるラモス! 永井秀樹監督が映像で選手に闘争心を注入→ヴェルディの連勝が始まった (4ページ目)

  • 会津泰成●取材・文 text by Aizu Yasunari
  • photo by Getty Images

 迎えた秋田戦、山口は、永井の期待にしっかり応えた。先制され、組織的な優位性をなかなか作り出せない中、持ち味の力強い突破からのクロスや積極的にシュートを放つことで攻撃のリズムを作った。

 前半24分、左サイドからダイナミックなクロスボールでサイドチェンジ。山下諒也がワンタッチで合わせてゴール前に流し込み、最後は小池純輝が押し込み同点に追いついた。ちなみに小池は第19節終了現在、11得点でJ2得点ランキングトップ。永井体制のヴェルディに移籍以降、ストライカーとして覚醒したが、34歳という年齢を考えても、脅威の進化と言える。

 試合は後半23分、ヴェルディは途中出場の井出遥也のゴールで勝ち越しに成功。後半28分、山口は、今度は中央の佐藤凌我からのスルーパスに走り込み、難しい体勢から合わせてクロスボールを上げた。これにまたも小池が頭で合わせ、秋田を突き放す3点目を奪い3-1で逆転勝利した。山口にとって、それは自身が先発出場した試合で初めて掴んだ、記念すべき初勝利でもあった。

 試合後のインタビューで、山口はこう振り返った。

「先制点を取られたら逆転できないような試合が続いて、チームとしてどうしても下降線を辿っていくような雰囲気が今まであったので、チームとして1点取られても盛り返していくという部分で、いつもの試合に比べてより強い気持ちで臨めたと思います。

 自分は1対1、対人の部分では負けてはいけないし、その自信もあります。秋田は右サイドがストロングと試合前から言われていましたが、負ける気は毛頭なかったです。むしろ勝てると思っていましたし、それが証明できてよかったです」

 ヴェルディは、ハードワークが持ち味の秋田相手に負けない強さや泥臭さを見せ、逆転で勝利を掴んだ。また、ボール支配率73パーセント、パス本数720本(パス成功率85パーセント)という数字が示すように、結果的に自分たちが大切にしてきた「巧さ」や「賢さ」の部分でも相手を圧倒することができた。「絶対に勝たなければならない試合」と覚悟して挑んだ戦いは、「巧さ」「賢さ」そして「勝利に対する執着心」という、目指すヴェルディらしさのすべてが揃った、最高の形で締め括(くく)ることができた。

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