中村憲剛と佐藤寿人に聞いた「増加する若手の海外移籍」どう思う? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 その時に、たぶんディナモに行ったらここまで喜べないなと。応援してくれる人たちのためにプレーして喜べるほうが大事なんじゃないかって。僕も30歳の手前だったので、具体的なオファーはこれが最後だなという想いもありましたけど、広島への想いが勝った感じですね。

---- おふたりもそうですけど、2010年頃は代表クラスの選手に海外クラブからオファーが来るというのがほとんどでしたが、今はJリーグでの実績がそれほどなくても海外からオファーが来る流れが生まれています。そこに関しては、どう感じていますか?

佐藤 憲剛くんは、プロに入った当初、ゆくゆくは海外でプレーしたいと思ってました?

中村 まったく思ってない。どちらかというと大卒1年目で活躍しないとクビになると思っていた人間だから。結果を出さないといけない、という危機感しかなかったね。当時はJ2でもあったし。

◆中村憲剛・独占インタビュー「引退発表した今だから話せること」>>

佐藤 僕はプロになって、まだ全然結果も出してない18、19歳の頃から海外に行きたいと思っていました。アンダー世代の日の丸をつけてプレー海外の代表チームと対戦した時に、上には上がいるなと。だから、そこでやってみたいと思うようになって。

 でも、Jリーグで結果を出せず、目の前のことでいっぱいいっぱいになって。だから、海外なんて現実的に考えられなくなりましたね。そういう意味では、今はだいぶ違いますよね。

中村 少し活躍すれば目に止まりやすくなってるし、行ける可能性もあるね。

佐藤 獲る側も、とりあえず獲っている部分もありますよね。ここで活躍できなくても、ほかのクラブに出しちゃえばいいというか。そこまで責任を背負わないんじゃないですか。

中村 それもあるし、それだけ日本の若い子たちの力がついてきたのかな、というのも感じるけどね。向こうの見方がだいぶ変わったなと。やっぱり力がないとオファーは来ないんですよ。U−17とかU−20の大会で世界のスカウトにパフォーマンスを見せて呼ばれるということは、日本の育成の成果が徐々に出てきている表われだと思う。

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