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小笠原満男にとっての3.11。「東北人魂」は変わらず。被災地からJリーガー誕生を願う (4ページ目)

  • 佐野美樹●取材・文・撮影 text & photo by Sano Miki

 ほかには、宮城県の松島でも開催されており、こちらは鹿島アントラーズで仙台出身の遠藤康が中心となって行なっている。どちらの大会も現地に行ける選手がいれば来てもらい、その選手たちが試合を見てMVPを決めたり、表彰式に参加したりして子どもたちのモチベーションを上げている。

「いつか一緒にボールを蹴った子どもたちの中から、この震災を乗り越えて強いメンタルを持ったJリーガーが出てきてほしい」というのは、この活動に関わった選手たちにとって、かねてからの願いだった。東北人魂を発足させるにあたり、当初現役の東北出身のJリーガーを調べたら、J1、J2併せて30人もいなかったこともあり、その思いは切実だった。

 あれから10年経った今、震災当時に小中学生だった子どもたちは、もう成人したり、高校を卒業したりしている。

 そんななか、最近では記事で東北出身の選手が新加入でJクラブに加入したと目にすることもあれば、大会でMVPに選ばれた子がクラブユースに入り、トップチームにいけるかもしれないと帯同のコーチから教えてもらったりもするようになった。

◆海外記者から見た東日本大震災後の日本。サッカー日本代表が果たしていた役割>>

「もしかしたら一緒にボール蹴ったことあるかな?と思ったりもするけど、こちらから聞くもの野暮というか、変な感じだしね。でも、そうやってあの経験を乗り越えてプロでがんばっているっていうのは純粋にうれしいし、応援したくなりますね」

 いかにも奥手な東北人らしい思いを述べると、小笠原は少し残念そうにこう続けた。

「ただ、もう今の小学生には、すでに東日本大震災と言ってもピンとこない子たちが多くなってきているんですよね。やっぱり、10年前に何があったかっていうのを風化させちゃいけないと思うし、こういうことはまたいつか起こるんだよって伝えていく必要がある。

 その時に自分はどうしなきゃいけないのかってことを、みんなで話し合っていく必要があると思っています。10年は記念日じゃないけど、10年の節目っていうのをいい機会にして、防災意識の再確認を家族や周りの人と話し合ったりして、備えてほしいですね」

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