大久保嘉人のゴール能力を佐藤寿人も絶賛「サッカーIQが相当高い」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 清武弘嗣をはじめ、原川力、坂元達裕ら、お膳立てしてくれる周囲のタレント力も大きいだろう。また、比較的自由を与えてくれるクルピ監督のアプローチも、大久保の能力を呼び覚ます要因となっているはずだ。FC東京戦でも前に張るだけでなく、自在なポジショニングでボールを引き出し、リズムを生み出していた。大久保の動きに合わせて周囲が連動する。そんな印象さえ受けた。

 ただ、大久保のインパクトある活躍に隠されてしまっているが、チームとしては開幕戦の勝利のあとに2試合連続の逆転負け。2点取っても勝てないのは、看過できない状況だろう。

 隙を見せたのは、やはり守備面。堅守を支えたマテイ・ヨニッチ(現・上海申花)の流出は痛手で、新たな外国籍選手もまだ合流できていない。瀬古歩夢、西尾隆矢の若きCBコンビは、ポテンシャルの高さを感じる一方で、経験値では不安がつきまとうのも事実だろう。

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 もっとも、クルピ監督は、逆転負けにもポジティブな見解を示している。

「両チームともゴールに向かっていく姿勢を持ち、ゴールを決める強い意志を見せた試合だった。悔しい結果となったが、両チームの攻撃的な姿勢は見応えがあった」

 課題の守備の修正にも自信を見せる。

「試合ごとに入れ替わりもあり、新加入選手もいる。開幕から何試合かは不安定さが出てしまうのは致し方ない。これから試合を重ねるごとに安定感が増してくると考えている」

 たしかにクルピ監督は、試合をこなしながらチームを作り上げていく実績がある。J1に復帰した2010年も開幕から結果が出なかったが、4−2−3−1の最適解を見出し、最終的に3位に躍進した(ガンバ大阪を率いた2018年は結果を出せないまま解任されてしまったが)。経験豊富な指揮官には、明るい未来が見えているのかもしれない。

 エンターテインメント性に満ちたスタイルへの回帰は、いわば負の歴史を掘り返す作業ともなりかねない。それでも、大久保の存在も含め、今季のC大阪には期待してしまう何かがある。やはり、このチームには「ハラハラ、ドキドキ」が似合うのだ。

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