大久保嘉人のゴール能力を佐藤寿人も絶賛「サッカーIQが相当高い」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 よくも悪くも、セレッソ大阪らしい試合だった。

 先手を取りながらも都度追いつかれ、ラストプレーで逆転ゴールを浴びてしまう。ドラマチックでエンターテインメント性にあふれる一方で、詰めが甘く、結果に結びつかない。土壇場で優勝を逃し、何度も降格を味わった起伏の激しいC大阪というクラブの歴史が、FC東京戦での逆転負けを見ながら思い出された。

早くも今季4ゴール目を決めた大久保嘉人早くも今季4ゴール目を決めた大久保嘉人 ここ数年のC大阪は、どこか"よそ行き"だったかもしれない。

 ハードワークを徹底したユン・ジョンファン監督のもとで、2017年にルヴァンカップを制し、悲願の初タイトルを獲得。さらに天皇杯も制して2冠を達成した。2019年からはミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもとで、堅守を築き、結果を出せるチームへと生まれ変わっている。

 もっとも、安定感を備えた一方で、クラブカラーとも言える攻撃性は薄まった。いわば、ここ数年のC大阪からは"らしさ"が消えていたのだ。

 そんなC大阪が今季招聘したのがレヴィー・クルピ監督だ。

 1997年に初来日したブラジル人指揮官は、C大阪に攻撃スタイルを植えつけると、2007年から2011年、2012年から2013年とその後の2度の就任時にも攻撃性を打ち出し、上位争いを演じている。この間には香川真司、乾貴士、柿谷曜一朗、南野拓実ら多くのタレントを育て上げた実績も持つ。

 そんな指揮官を4度、迎え入れたのは、攻撃スタイルへの回帰にほかならない。実際に、C大阪は早くも生まれ変わった姿を示している。

 開幕戦で柏レイソルを2−0で撃破すると、前倒しで開催された第11節の川崎フロンターレ戦では、打ち合いに屈したものの2−3と王者を追い詰めた。そして第2節のFC東京戦でもリードを守り切れなかったとはいえ、2ゴールをマーク。ここまでの3試合で6ゴールと、昨季と比較すると得点率が目に見えて向上している。

 そのチームを牽引するのが、大久保嘉人だ。

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