恋愛推奨、髪形フリー、先輩クン呼び。これが令和のサッカー部の新常識!?

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • photo by Morita Masayoshi

<美容室と提携するサッカー部>

 昭和・平成・令和と時代が変化していくのに伴い、部活動の在り方が変化している。とくに大きな変化が見られるのは高校サッカー界だ。

髪を切ってもらう、飯塚高校サッカー部員髪を切ってもらう、飯塚高校サッカー部員 代表的な例は、縦関係の変化だろう。昭和の部活動では、「〇〇先輩」と呼ぶのが当たり前。後輩にとって先輩ほど恐ろしい存在はなく、直立不動でありがたい話を聞くのが当たり前だった。

 だが、縦関係が緩やかなJリーグのアカデミーや、中学年代のクラブチームが全国的に広がっていったことで、高校サッカーでも変化が見られるようになった。今では、どのチームも「クン付け」で呼ぶのは当たり前。試合でのコーチングでは、呼び捨てである選手も珍しくない。ピッチに立てば上下関係はなく、同じチームの一員という意識が根付き始めている。

 髪形に関しても変化が見られる。以前の強豪校は、プレーに支障がでないようにと坊主頭やスポーツ刈りの選手が主流だった。また、決められたルールを守れなかった罰として頭を丸めるといった話もよく耳にした。

 しかし、坊主頭のチームのイメージが強い長崎県国見高校の、小嶺忠敏元監督(現・長崎総合科学大学附属高校総監督)も今は強制していない。印象に残っているのは、3年前の高校サッカー選手権だ。大会直前に風邪を引いたため、「不運を取り除くため、刈り上げたかった」とバリカンを手にとったMF鈴木冬一(現ローザンヌ)にチームメイトもつづき、6名が坊主頭となったのだ。

 小嶺監督が「俺がやらせたと思われるから、やめてくれよって言ったんです。(坊主頭を)楽しんでいるんですよ、彼らは。(彼らが)悪いことをしたわけではないんです」と苦笑いしていたように、部活動や青春の象徴として、坊主頭を楽しんでいるのが、今どきの選手と言えるだろう。

 髪形に関しては、興味深い取り組みを始めたチームがある。MF村越凱光(松本山雅FC)、DF川前陽斗(アスルクラロ沼津)と2年連続でJリーガーを輩出し、注目を集める福岡県の新興・飯塚高校だ。

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