恋愛推奨、髪形フリー、先輩クン呼び。これが令和のサッカー部の新常識!? (4ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • photo by Morita Masayoshi

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 両アプリ共に手軽さがキーワードで、河野監督は「サッカーの練習とは別に時間を取ると、時間のロスになるので、効率よくいろんな作業を進めたい。アプリを使えば休み時間などちょっとした隙間時間に利用できるため、勉強は勉強、サッカーはサッカーと区切りをつけられるのがありがたいですね」とメリットを口にする。

 ITでは、昨年からクラウドファンディングを活用するチームも増えている。

 これまでは全国大会に出場する際は、OB会や保護者の寄付に頼っていたが、クラウドファンディングを活用すればより多くの人から資金を募れるためだ。

 沖縄県の那覇西高校では、昨年度の高校サッカー選手権にかかる費用をクラウドファンディングで募った。もともと沖縄県のチームは遠征に出るために飛行機やフェリーが必要で、他県のチームよりも金銭的な負担が大きい。加えて、昨年は新型コロナウイルス感染防止にかかる費用も増えた。宿泊は、コロナ禍でJリーグのチームを受け入れた経験を持つ感染対策が万全なホテルへとグレードアップ。部屋も密を避けるため、今までよりも少ない人数での部屋割りを余儀なくされた。

 当初は「Go Toトラベル」を活用し、選手の負担を減らそうと考えていたが、大会直前になり利用が停止されたのは誤算だった。ただ、チームの苦境が報じられると、チーム関係者だけでなく、県内外の有志からの支援が増え、想定を遥かに上回る金額が集まったという。

 平安山良太監督は「クラウドファンディングをやっていなかったら、選手権には行けなかった。支援を通じて、いろんな人から応援されているんだと改めて感じたし、今まで以上に選手が感謝の気持ちを持つようになったと思います」と口にする。遠征費に苦しむのはサッカー部だけではないので、今後は他競技でもクラウドファンディングを活用する沖縄県のチームが出てきそうだ。

 令和の時代に受け継いでいきたい伝統もあれば、新たな時代に合った取り組みもある。「先輩たちがやってきたから」との理由だけで、しきたりを守りつづけると不具合も生じる。反対に目新しい物に食いついてばかりでは、失う物もあるかもしれない。選手に必要な物は何か、取捨選択をすべき時代かもしれない。

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