「自分の殻を破るため」ヴィッセル古橋亨梧に芽生えた新たな意識とは (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

「ヴィッセルのために結果を残し続けることで、もう一度あの舞台に戻りたい。次に選んでもらえたら結果を残せる自信もある」

 強い言葉で言い切った。これもおそらくは、あえて自分にプレッシャーをかけるため。言うなれば、今シーズンに対する覚悟の表われだろう。

「応援してくださるみなさんに、ワクワクできる瞬間をたくさん届けられるシーズンにするために、プレーでメッセージを送り続けたい」

 そんな思いを胸に迎えたホームでのリーグ開幕戦。古橋は79分に左足で決勝ゴールを叩き込み、チームを勝利に導いた。

「去年はなかなかリーグ戦で勝てなくて、ACLでもベスト4で負けてしまって悔しいシーズンだったので、ホームで、僕のゴールで、勝てたのはすごくうれしかった。試合に出ていた選手、出ていなかった選手、みんなが体を張ってがんばったからこその勝利。自分たちの自信にもなったし、見てくれた人たちに勇気を与えられたのかと思います」

 試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、涙が頬をつたう。本人は「うれし涙ということにしておいてください」と笑ったが、その涙は紛れもなく、古橋の責任感の強さを指し示すものだった。

古橋亨梧(ふるはし・きょうご)
1995年1月20日生まれ。奈良県出身。中央大卒業後、2017年にJ2のFC岐阜に加入。2年目にはゴールを量産し、シーズン途中にヴィッセル神戸へ完全移籍。J1でもゴールを重ねて、2019年には日本代表にも招集された。2019年、2020年とシーズンふた桁得点を記録。今季もさらなる飛躍が期待される。

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