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「自分の殻を破るため」ヴィッセル古橋亨梧に芽生えた新たな意識とは (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 去年のACLのようにセフティな選択に逃げることのないよう、今年は少しエゴイストになってもいいから、強引にでもシュートを打つとか、それをゴールの中に収めることだけを考えてピッチに立ちたい。今年もまた、新たにすばらしい選手が入ってきてチーム内での競争力も高まっているだけに、より得点やアシストにこだわってチームを勝たせるプレーをして、自分の存在をアピールしていきたいと思っています」

 これは、チームの中での立ち位置を意識してのことでもある。2018年に加入した際は23歳と、同じピッチに立つ選手の中では若く、周りの選手に引っ張られる立場だったが、ヴィッセルでの4シーズン目を迎え、これだけコンスタントにピッチに立ちつづけているなかで、仲間を「引っ張っていかなければいけない」という自覚も芽生えてきた。

 思えば、チームメイトで後輩の安井拓也は以前、古橋が同じピッチにいる心強さについて「僕のちょっとしたパスミスも、ミスにならないように修正して何食わぬ顔でゴールまで持ち込んでくれる」と話していたが、実はそれも古橋なりの秘めた思いがあってこそ、だ。

「僕も若い時は先輩選手にそうやってたくさん助けてもらって、今の自分がある。だからこそ、年齢的には中堅......いや、ベテランの域に入ってきた今は、若い選手と一緒にピッチに立つ時はできるだけ自信を持ってプレーできるように助けてあげたいというか。

 ミスによって若い選手が萎縮したり、その後のプレーが消極的にならないように、ミスを自分のところで修正してあげるのも僕の仕事だと思う。特に僕の場合は、基本的に言葉で伝えるのは苦手だからこそ、プレーで引っ張ったり、伝えていくことができたらいいなと思っています」

 チームでのパフォーマンスの先には、言うまでもなく2019年11月に初選出された"日本代表"も明確に描いている。初めて日の丸をつけた際は「まさか選んでもらえるとは思ってもいなかった。試合に出ることができたら自分の持ち味を出せるようにしたい」と話していた古橋だが、今は違う。

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