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栄華を極めた広島と酷似。完成形を迎えた今季の川崎につけ入る隙あり

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

『特集:Jリーグが好きだっ! 2021』
王者川崎フロンターレを分析する

 Jリーグの新たなシーズンの幕開けを告げるFUJI XEROX SUPER CUP。昨季J1と天皇杯の二冠を獲得した川崎フロンターレが、ガンバ大阪を3-2で下し、今季最初のタイトルを手にした。

 昨季の実績、すなわち、G大阪はJ1でも天皇杯でも川崎の後塵を拝し、いずれも2位に終わっていたことを考えれば、妥当な結果ではあるだろう。

 川崎の鬼木達監督も「反省点はある」としながらも、「一発目(シーズン最初の公式戦)を勝てたのは評価できる。いい試合だった」と語っている。

 とはいえ、内容や展開に目を向ければ、「おやっ?」と感じるところがなかったわけではない。ひと言で言うなら、川崎らしからぬ試合だったのだ。

ゼロックス・スーパーカップを快勝したフロンターレだが...ゼロックス・スーパーカップを快勝したフロンターレだが... 前半は、完全に川崎の試合だった。

 高い位置からG大阪が仕掛けるプレスをかわし、次々にチャンスを作り出すと、2点を先制。G大阪にはほとんど攻撃機会を与えず、敵陣で試合を進めることができていた。

 両者の力の差は、昨季から縮まるどころか、むしろ広がっている。そんな印象すら受ける前半だった。

 ところが、後半に入ると、立場が一転。川崎は反攻に転じたG大阪に押し込まれ、あっけなく同点に追いつかれてしまったのである。しかも、不運な"事故"によるものではなく、しっかりと相手の時間を作られたうえでの2失点だった。

 歴史的な強さでJ1を制した昨季の川崎には、2点のビハインドを追いついた試合はあっても、2点のリードを追いつかれた試合はひとつもなかった。つまり、昨季なら起こりえない試合展開になったわけである。

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