大黒将志が語る点取り屋の極意「DFが見失うタイミングをわかっている」 (3ページ目)
コーチの仕事が、選手の能力を見極めて開花させ、成長させることだとしたら、現役時代の大黒はプレーヤーとしてピッチに立ちながら、すでにその仕事を果たしていたことになる。
「僕も、誰にでもアドバイスするわけじゃないんです。まず、その選手の性格を見ます。それで、人の話を聞けるタイプやな、素直やなと思ったら話をします。サッカー選手としての能力は、1、2回一緒に練習すればだいたいわかるので、できそうな選手に言います」
指導者の片鱗をうかがわせる言葉である。もっとも、大黒が若手にアドバイスをするようになったのは、必要に迫られたからだった。ガンバ大阪でプレーしていた時は、遠藤保仁や二川孝広など、日本を代表するパサーがいた。
「ガンバにいた時は、何も言わなくてもいいパスが出てくるので、ある意味ラクやったんです。ただ、そうじゃない時にどうするかが大事で、僕がチームに合わせなあかん部分もあるわけです。僕は周りにパスの出し方、タイミングを教えてきたので、どのチームに行っても、点を取りつづけることができたのかなとは思います」
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指導者的な視点を持ち、若手を鍛えてきた大黒。「2012年にB級ライセンスを取りに行ったんですけど、その時に指導者目線が強くなりましたね」と振り返る。
「指導者になりたい気持ちは常にあったんで、監督がどういうふうに選手と接しているかを観察していました。ミーティングで何を言うかとか。選手は一人ひとり性格が違うので、性格を見抜いて、この選手にはキツく言ってもいいけど、この選手には言わんほうがいいとか。僕はキツく言うことはないですけどね(笑)。わりとソフトに、ここはこうして欲しいとか言うタイプです」
キャリアを振り返ると、日本サッカー界を代表する名将のもとでプレーしてきた。西野朗、岡田武史、アルベルト・ザッケローニ、石崎信弘、城福浩、ジーコ......。
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