「ぬるぬるドリブル」は必見。川崎のルーキー三笘薫にDFもお手上げ (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もちろん、2点目と3点目のゴールを演出した中村のキックがセットプレーの威力をさらに高めたことは間違いない。負傷で出遅れた中村は、これが今季4試合目の出場。復帰戦でもゴールを決めたように、ピッチに立てば確実に結果を残すこのベテランは、今なお川崎に絶大な影響力をもたらしている。

 あらためて存在感を示した大黒柱の活躍もさることながら、より際立ったのは大卒ルーキーの三笘だった。

 この日のゴールで、今季11得点目。得点ランクでは4位タイにつけ、日本人に限れば同僚の小林悠に次ぎ、ヴィッセル神戸の古橋亨梧と並んで2位タイ。Jリーグの新人得点記録である渡辺千真(当時横浜F・マリノス)と武藤嘉紀(当時FC東京)の13得点を上回るのも時間の問題だろう。

 三笘の特長は、なんといってもドリブルだ。巷で"ぬるぬるドリブル"と呼ばれるその突破は、スピードありきの直線的なものではなく、細かいタッチと緩急を使い分ける独特のリズムで、狭い局面をすり抜けていく。

 アウトサイドも巧みに駆使するボールタッチは相手に読みづらく、多少乱れてもググっと足を伸ばして、すぐさま自分の範囲に収めてしまう。あるいはあえて相手に向かって行き、直前で方向転換して一気に加速していく。取れると思ってアプローチに行っても、気づけば抜かれてしまう。対峙したDFはそんな感覚を味わっているに違いない。

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 そのドリブルを駆使したカットインからのフィニッシュは、今の川崎の最大の武器のひとつだろう。名古屋戦でも立ち上がりから華麗な突破で左サイドを切り裂き、意表を突くヒールパスで決定機を生み出し、優れたゴール嗅覚を発揮して先制ゴールも奪っている。

 また、三笘の優れている点は、途中出場からでも結果を出せること。今季出場20試合のうち、スタメンはわずかに5回。11得点中7点を交代出場から決めているのだ。

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