2020.10.20

「ぬるぬるドリブル」は必見。
川崎のルーキー三笘薫にDFもお手上げ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 勝敗を分けたのはセットプレーだった。

 前半終了間際の44分、田中碧の右からのCKをニアサイドで谷口彰悟がヘッドですらすと、ファーサイドに詰めた三笘薫が確実に押し込んで先制に成功。57分には中村憲剛のFKをジェジエウが頭で合わせて追加点を奪い、65分にもショートCKで相手を揺さぶり、中村の左足クロスを再びジェジエウがヘッドで叩き込んで勝負を決めた。

緩急のあるドリブルで相手DFを翻弄する三笘薫 前回対戦で連勝を止められて今季唯一の黒星を喫した名古屋グランパスを、川崎フロンターレが精度の高いセットプレーを駆使して3−0と一蹴。完全なるリベンジを果たし、同一シーズンのJ1新記録となる11連勝を達成した。

 8月23日に行なわれた前回対戦では、川崎は名古屋の堅守に大いにてこずった。攻め込みながらもゴールは遠く、逆に一瞬の隙を突かれて失点。この時も10連勝と圧倒的な強さを示していたが、徹底した対策を受けて攻撃陣が沈黙した。

 2度目の対戦となった今回も、川崎は立ち上がりから名古屋を押し込んだ。しかし、中央を固める名古屋の堅牢をこじ開けられないでいると、次第に相手にペースを譲り、ピンチを招く場面も増えた。

 そんななかで訪れた、前半終了間際のCKの場面。それまでは中村がキッカーを務めていたが、この時だけは田中がその役を担っていた。

 中村が「目先を変えた」というこのセットプレーは、蹴った瞬間に谷口がニアに動いたことからも、狙いどおりの形だったのだろう。「得点はセットプレーでしたけど、それが狙いでもあった」と鬼木達監督が振り返ったように、前回無得点に封じられた名古屋からゴールを奪うため、川崎がセットプレーを念入りに準備してきたことがうかがえる。

「セットプレーで点を獲れる印象も与えられた。ひとつの武器にしながら向上していきたい」

 谷口が言うように、流れのなかからだけでなくセットプレーでの得点力も示したことで、他チームは川崎対策にさらに頭を悩ませることになりそうだ。