湘南vs札幌ではっきり見えた。コロナ禍のJ1はクラブ格差を明確に示す (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかし、札幌のそれは、神戸の"記録"を30分も短縮するハーフタイムでのこと。驚きは前日の出来事以上に大きかった。

 とはいえ、札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督に"記録更新"の狙いはなかっただろう。歴戦の知将は「1週間での3試合目で選手たちに疲労があった。(もともとは)途中で入った選手を先発出場させることも考えていた」と言い、こう語る。

「動きのキレがよくない選手を代えようと思っていた。本来なら(ハーフタイムに)3枚交代させようと思っていたが、チャナティップが太ももに問題があり、大事を取って交代させたので4枚になった」

 この交代に合わせ、MF駒井善成が右シャドーから右DFへ、さらにはDF田中駿汰をリベロからボランチへと移したため、結果的に札幌は6つのポジションで選手が入れ替ることになった。かなり大胆な変更ではあるが、指揮官の言葉に従えば、戦術的な狙いうんぬんというより、選手の疲労を考慮した面が大きかったようだ。

 実際、試合の流れを変えるという意味で、この大胆策が功を奏したのかと聞かれれば、すんなりうなずくのは難しい。

 後半開始からしばらくは、ドゥグラス・オリベイラとFWジェイという個人能力に優れた選手が前線にいることで、早いタイミングで縦にボールを入れる攻撃が形になった。後半9分にはふたりの連係から、ジェイが左ポストを叩く強烈なシュートを放ってもいる。

 しかし、札幌は時間とともに攻め手を失い、あまり工夫のないクロスを放り込むしかなくなった。その一方で、湘南のロングボールに手を焼き、DFラインの背後を突かれてピンチを招くケースが増えた。ゴールの匂いは一向に漂ってこなかった。

 同じことは、湘南にも言えた。

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