湘南vs札幌ではっきり見えた。コロナ禍のJ1はクラブ格差を明確に示す

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

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 後半開始に向け、選手たちがピッチに姿を現し始めたときである。コンサドーレ札幌のベンチ前で動きがあった。

 今季新加入のFWドゥグラス・オリベイラが、チームスタッフから何事か指示を受ける。体の大きな背番号33は、ウンウンとうなずきながらも、早くプレーしたいと急く気持ちを抑え切れない様子だった。

 前半の札幌は、相手ディフェンスを巧みにはがす本来の攻撃ができていなかった。ボールを保持してはいても、相手ゴールへ向かえない。攻撃陣のテコ入れが行なわれることは、決して意外なことではなかった。

 だが、ピッチ脇に目を向けると、ドゥグラス・オリベイラとは別に、すでに交代出場を待つふたりの選手が立っていた。

 ハーフタイムにして一気に3枚代え――。それでも驚きの一手ではあったが、その後ろには、さらにもうひとりの交代選手が待っていたのである。

 J1第4節、湘南ベルマーレvs札幌でそれは起きた。

 札幌は後半開始に合わせ、先発出場のDF進藤亮佑、MF荒野拓馬、MF深井一希、MFチャナティップに代え、MF宮澤裕樹、MF金子拓郎、MF高嶺朋樹、FWドゥグラス・オリベイラを投入。ハーフタイムにして、一気に4枚代えである。

 今季、Jリーグでは中断明けの第2節から、選手交代についての特別ルール、すなわち、1試合に交代できる選手を3人から5人に増やすことが採用されている。選手の体調面に配慮した今季限定の措置だ。

 従来のルールであれば、一度に4人の選手を交代させることなどできず、昨季までに前例があるはずもない。今季においても、一度に3人の交代はすでにいくつかの試合で行なわれてはいたが、同時に4人交代となると、この試合の前日に行なわれた大分トリニータvsヴィッセル神戸で、後半30分に神戸が一度行なったのみだった。

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