Jリーグ観戦記者が感じた不安と戸惑い。ピッチ上には「新しい様式」があった (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Jiji Photo


 それは、久しく行っていない場所に足を踏み入れる時の感覚だ。日常だったものが、そうではなくなったのだ。非日常を味わう時には、いつだって不安がつきまとうものである。

 6月27日、J1リーグに先駆けて、J2とJ3が再開・開幕した。一時は今季の開催が困難とさえ思われていたなか、「よくぞ、ここまで」という想いが強い。

 フクダ電子アリーナでは、ジェフユナイテッド千葉と大宮アルディージャのカードが組まれた。

 ユン・ジョンファン監督を招聘して低迷からの脱却を狙う前者と、昨季あと一歩のところで昇格を逃した後者。そのネームバリューを考えれば、この日の最注目カードと言えた。

 もっとも、無観客で行なわれた試合は、知っているものではなかった。

 当然ながらスタンドに人はおらず、寂寥感が漂った。スタジアムの音響から声援が流れるという「リモートチアラー」なるシステムによって、静寂は回避されたものの、展開によって左右される抑揚や臨場感には欠けた。

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