全国Vから14年。野洲高出身の楠神が
貫くセクシーフットボール魂 (5ページ目)
野洲高グラウンドの天気は、一日の中でくるくると変わる。背後にある三上山から降り下ろす風は冷たく、そばを流れる野洲川を挟み、晴れていたと思ったら雨が降り、気がつけば雪に変わることもある。
野洲高校の練習に参加した楠神(写真右)と現在チームのコーチを務める瀧川陽(同左) photo by Suzuki Tomoyuki 楠神は真冬の寒さに耐えながらも、野洲高グラウンドでトレーニングを続け、次のチームを探した。そして3月2日、リリースが発表された。所属先は東京都社会人サッカー連盟1部リーグに所属する南葛SCだ。
『キャプテン翼』の作者、高橋陽一氏がオーナーを務めるチームで、鹿島アントラーズなどで活躍した青木剛を始め、Jリーグでプレーした経験のある選手が何人も顔をそろえている。
楠神は「サッカーを始めた頃から、ボールは友だちと思ってずっとサッカーをやってきた僕が、『キャプテン翼』から生まれたこの南葛SCというすばらしいチームでプレーできることをうれしく思います」とコメントを発表した。
楠神は子どもの頃、「住んでいるところが田舎だったので、ボールを蹴るぐらいしかすることがなかった」と、時間を忘れるほどボールと遊んでいた。中学時代のチームメイトで、野洲高で10番をつけた平原研が「リフティングを1万回やったらしい」という噂を聞けば、「頭がおかしくなりそうになりながら」(楠神)も、負けじとやり抜いた。
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