2019.12.29

今年の高校サッカー選手権は名門校復権が濃厚。優勝争い筆頭は?

  • 松尾祐希●文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

 今年で98回目を迎える全国高校サッカー選手権。令和最初の勝負が12月30日に幕を開ける。いくつかの元号を通して行なわれ、さまざまな高校が歴史を紡いだ冬の檜舞台。過去の大会を振り返ると、いくつかのチームが一時代を築いてきた。

今年度高校サッカー選手権、優勝候補筆頭の青森山田。武田英寿に注目が集まる 戦後以降、昭和中期に大会を席巻したのは埼玉県勢だ。1959、60年度に大会を連覇した浦和市立や75、76年度連覇の浦和南が、この全国の舞台で結果を残した。昭和の終期に入ると、古沼貞雄監督の下で6度の選手権制覇を果たした東京都の帝京や、大滝雅良監督が率いて3度の戴冠に輝いた清水市商(現・清水桜が丘)や清水東、東海大一(現・東海大付属静岡翔洋)などの静岡県勢が台頭。

 そして、忘れてならないのが長崎県の国見だ。小嶺忠敏監督の指導で力をつけると、昭和ラストイヤーの87年度に初制覇し、平成で黄金時代を迎えた。新たな元号を迎えると、国見とともに高校サッカー界を牽引したのが千葉県の市立船橋だ。布啓一郎監督の下で94年度に選手権を初めて制すると、平成では2度の監督交代を経験しながら5回も頂点に立った。

 98年度に3冠を達成した福岡県の東福岡や、この選手権で2度凱歌をあげた鹿児島県の鹿児島実なども全国舞台で結果を残しており、平成初期から中期を彩った強豪校を挙げれば、枚挙にいとまがない。

 こうしてさまざまな高校が盛衰していく中で、高校サッカーの在り方も時が進むに連れて大きく変わった。とくにJリーグが1993年に開幕すると、高校年代のサッカーは転換期を迎える。Jクラブが下部組織を持つようになり、選手の所属先が多様化したのだ。それまでのように一線級のプレーヤーが必ずしも高校に進む流れではなくなり、戦力の分散化が進んだ。

 そのため、平成中期をすぎると、状況が一変。これまで全国を席巻してきた高校が絶対的な存在ではなくなった。2005年度から14年度までを振り返ると、11年の市立船橋以外はすべてが初優勝校。どこが勝ってもおかしくない群雄割拠の時代を迎えた。

 こうした流れに終止符を打ったのが、2011年に創設されたU-18高円宮杯プレミアリーグだ。Jユース、街クラブ、高体連(高校)が、同じ大会でしのぎを削る高校年代最高峰の戦い。この全国リーグの普及で高体連のレベルが引き上げられ、全国優勝経験のある強豪校に選手が集まる傾向が再びできあがってきたのだ。