2019.12.22

鉄人・明神智和が引退を決断。
プロ24年間「大事にしてきた言葉」とは

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Kyodo News

引退、明神智和インタビュー(前編)

 今シーズン限りでの現役引退を12月2日に発表。そこからおよそ1週間後、明神智和は、J3最終節のロアッソ熊本戦で、先発メンバーとしてホームの長野Uスタジアムのピッチに立った。

 24年のプロサッカー生活を締めくくるラストマッチ。引退を決意した時から、「最後まで、いつもどおりに準備をし、これまでの試合と変わらない気持ちでピッチに立つ」と決めていたが、さすがの"鉄人"も、胸のざわつきは抑えられなかった――。

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現役引退を発表した明神智和「引退を決めてから、いつもどおりに毎日を過ごしてきましたが、自分の中ではいろいろと思うこともあって、正直、この1週間は、平常心を保つのが非常に難しかったように思います。そのせいか、試合も最初の10分間くらいはあたふたしてしまいました(苦笑)。

 ただ、引退を決めた僕に限らず、今日の試合を最後に、志半ばでAC長野パルセイロを離れる選手もたくさんいるなかで、チームを代表して試合に出る以上は、しっかりと結果を出さなければいけないと思っていました。時間としては......思っていたより短かったけど(笑)、やり切ったという気持ち。

 プロサッカー選手として、初めてJリーグの試合に出場した、浦和レッズとの1996年のJリーグ開幕戦は黒星スタートでしたが、最後は白星で締めくくれてよかった。チームメイト、スタッフ、寒いなか、最後まで応援してくださったファン、サポーターのみなさんに感謝します」

「引退」のふた文字が頭をよぎるようになったのは、9月の終わり頃だったという。今年で切れるはずだった契約の延長をクラブから打診されたなかで、自分と向き合い、答えを出した。

「近年は漠然と、『長野との契約がなくなった時点で引退しようかな』と考えていました。実際、契約としては、今年で切れるタイミングだったので、なんとなくですが、『今年は最後のシーズンになるかも』と思っていた気がします。であればこそ、今シーズンを迎えるにあたっても、オフシーズンにもう一度自分を鍛え直し、この一年に懸けてきました。